表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢に転生したけど、攻略対象全員が私に夢中なんですが!?  作者: 雨野しずく
ifルート::闇ルート分岐ー悪役令嬢クラリス、全員の愛が重すぎて逃亡しました
8/43

第3話:騎士団長ルーク、村人のハートまで騎士道で掴む

その朝。私は畑にいた。


 ……いたのに。


「クラリス様、ここにいらしたのですね!」


「ルークゥゥ!!?」


 まるで爽やか勇者のごとく、白馬に乗った騎士団長――ルーク=アルヴァスが、朝露の中に現れた。


「やっと、見つけました。あなたがここで平穏に暮らしていることは、嬉しく思います」


「だったら、帰ってよぉぉぉぉ……!」


 私は必死に鍬を構える。もうこれ、武器化してる。


「ジークまで来てるんだから、もう私の逃亡生活、崩壊寸前よ!? せめて黙ってて!」


「……できません。なぜなら私は、クラリス様の“護衛騎士”でもありますので」


「やめて!? その設定まで持ち出すのやめて!!」


 しかし――。


「まあまあリスちゃん、そんな怖い顔しないで。こんな爽やかイケメン、村にいなかったから目の保養よ」


「見てこの騎士様、子どもたちにもすっごく優しくて……」


 ――村人全員が、すでにルークの騎士道マジックに陥っていた。


 ちょっと荷物を運んだだけで拍手、

 子どもの剣ごっこに付き合っただけで歓声、

 「クラリス様」とうっかり呼んでも「高貴なあだ名だねぇ!」でスルーされる謎の寛容さ。


(ルーク、村の好感度まで上げてる……)


 ジークは家の魔術結界を強化して「クラリス様防衛エリア」を作り、

 ルークは村の人間関係に溶け込みながら“心の防衛”を削ってくる。


 なんなのこの包囲網!?

 これが……イケメンの本気……!!


 夕方、私はついに叫ぶ。


「もう! いっそここで農業婚でも始めるつもり!?」


「……それは魅力的な案ですが、まずは正式な求婚を受けていただかないと」


「やだ、ルークさん誠実〜」


「ジークさんは“同棲済み”ってことよね?」


 ――やめて村人! 勝手に盛り上がらないで!!


 そして夜。


 私が畑道を歩いていると、ふいに背後から風を切る音。


「やあ、クラリス様。お元気そうで、なにより」


 ――シリル=セレノア。

 第三の男、ちゃっかり追いついていた。


「……は?」


「当然でしょう。あなたがいなくなってから、私、毎晩寝れなかったんですから」


「それは……」


「逃げても、いいんですよ。けれど――どうせ逃げるなら、私を連れていってください」


 そう言って、彼は夜の空気の中、私の手を取った。


(も、もう無理ィィィ!!!)


 ――私の平穏ライフ、終了のお知らせ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ