最終話:私が選ぶ未来に、後悔はひとつもない
秋の風が、黄金の麦を揺らしていた。
村の収穫祭の日。私は、青い空の下で、ひとり風に髪をなびかせて立っていた。
この一年、私は逃げて、迷って、愛されて――
そしてやっと、たどり着いた。
「クラリス様」
声がした。私の名を呼ぶ、まっすぐな声。
振り向いた先にいたのは――
誰を選んだのか。それは、読んでくださったあなたの想像にお任せします。
騎士団長ルークか。
魔術師ジークか。
宰相の息子シリルか。
村の青年アッシュか。
あるいは、誰も選ばず、自分の人生を歩む道か。
私が選んだ未来は、たったひとつ。
だけど、そのどれもが、“正解”だったかもしれない。
「……私は、私の人生を歩みます。
もう、誰かの“役”じゃない。誰かの“ルート”じゃない。
――これからは、私自身の物語を、生きていきます」
私が選んだ未来に、後悔はひとつもない。
だって私は、
どんなに迷っても、
どんなに傷ついても、
本気で生きて、愛されたから。
ーifルート::闇ルート分岐 完
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
『悪役令嬢クラリス、全員の愛が重すぎて逃亡しました』――この物語は、「破滅回避」を果たした悪役令嬢が、自分の意思で“愛される側”を選び直すまでの、ちょっとわがままで、でもとても人間らしい物語でした。
クラリスが逃げた先で得たものは、「誰かの愛」ではなく、「自分自身の愛し方」だったのかもしれません。
もし、あなたがこの物語を読みながら、
「誰を選ぶのが正解なんだろう?」
「自分だったらどうするだろう?」
と一度でも想像してくれたなら、それこそがこの物語の“本当のエンディング”です。
2部の内容や番外編や他のifルートも気になる、という読者の方がいらっしゃれば
「お気に入り」や感想でこの話が読みたいなどで残していただければ嬉しいです!
そこのお話ではきっと、クラリスが“選んだ人”との、より深くて、複雑で、愛に満ちた物語が待っているはずです。
それでは、また別の物語でお会いしましょう。