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魔動戦機トライエース  作者: 一文字 心


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34/115

交戦Ⅱ

 ミリーとコナーが格納庫近くまで辿り着くと、既に何機ものトライエースが出撃をしたところだった。


「艦長。我々も、出撃を」

「助かった。今は一機でも出撃できるとありがたい。敵トライエースは本艦を落とすつもりのようだ。現在、敵艦からのレーザー照射も確認している。可能な限り、敵機を排除し、敵艦を無力化。最悪、轟沈させろ」


 飛んできた命令にミリーは一瞬、自分の耳を疑った。

 URU軍の機体とはいえ、ジョンのように拿捕されたものを用いる宇宙海賊がいないわけではない。だが、航宙艦が相手として出て来たのならば話は別だ。


「宇宙開拓連合は、戦争をお望みですか」

「どうやら、今はそう考えるしかあるまい。付近のEMU軍や月面基地、ニアムーンコロニーには既に警告と応援要請をしている。突っ込んで無駄死にだけはするんじゃない」

「了解」


 ミリーとコナーはすぐに更衣室へと向かい、パイロットスーツへと着替える。

 万が一、宇宙に放り出されたとしても酸素の補給や宇宙線の遮断、簡易ジェットパックによる推進装置などがあり、生存性を高めてくれる装備になっている。

 肌にぴったりと吸い付くそれは、ダイバースーツにも似ており、運動性を損なっていない。ヘルメットを抱えて、自身の機体が用意されている場所へと走る。


「メンテとか問題は?」

「完璧!」

「ありがとうございます!」


 整備員に感謝を伝えてヘルメットを被ったミリーは、真っ白な四肢に鮮やかな緑の装甲、そこに金色の筋が入った己の機体と向き合う。

 機体名はEHUL-M037NM「スルーズ」。初期EMU軍のトライエース「ワルキューレ」の後継機だ。頭部は翼のようなアンテナが耳の上に着いており、人の目に当たる部分がひし形で吊り上がった鋭い目のようにも感じる。左右一対のスラスターは白銀に輝き

 一般的な装備は右腕側がビームライフルとソード、左腕側には長形のコーティングシールドが装備可能になっている。かつてのニアムーン大戦の経験から来る中近距離戦型の装備であるが、ミリーの機体は少しばかり例外だった。

 他の機体よりも長い銃身を持つそれは、配備の少ないビームスナイパーライフル。軍学校時代における狙撃の成績は突出しており、配属二年目から専用機と共に与えられた兵装であった。直撃すれば、既存のトライエース機は何であっても、中破は確実。当たり所が悪ければ一発で爆散してしまうほどだ。


「スルーズ、バッテリー起動。出撃までに各種状態のチェック。――――同時に状況説明をお願いしてもよろしいですか?」

「了解。現在、先発部隊二十機が牽制射撃して時間を稼いでいますが、少しずつ本艦に近寄って来ています。敵機数はレーダーで確認できるだけで十四――――」


 意外に数が多い。そう思いながら、ミリーはエンジンを始動。各種スイッチをオンにし、前面モニターが景色を映し出すのを確認する。


「――――敵艦の出所はURU軍の駆逐艦二隻と思われ、こちらへレーザーによる攻撃を行っています。本艦はレーザー遮断煙幕装置を起動し、これを防御。この規模の相手なら余裕で一時間は耐えられます。その間に敵機を撃墜してください」


 レーザーは宇宙空間における最大の攻撃手段だ。何せ、攻撃速度は光そのもの。いくら早く動くと言っても巨大な航宙艦であれば外すことはまずない。地球上と違い、大気が無ければ減衰もしない。それ故、航宙艦は必ずレーザー兵器を標準装備している。

 逆に言えば、それを防ぐ手段も必須であるということ。透過率の低い物質や金属片を混ぜた物を散布することで、艦に届く前に減衰、反射、吸収させるバリアを作り出す。

 当然、物理的に散布する物なのでその量には限りがある。幸運にも艦の全方位を守る必要はないので、かなりの時間稼ぎができる。その間に、コーラルも攻撃を繰り出し、可能ならば駆逐艦を先に落とそうというつもりであった。

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