第748話 カレーに感動したのは
見た目に反して、味は抜群。
というか、店長の作る料理はなんだって美味しい。会計の仕事以外にも、『賄い』として食べたことのない美味しい料理を振舞ってくれるのは、いつだって店長の仕事。
ポーションパン作りで忙しくしているのに、合間を縫ってこしらえてくれるんだから……男の人なのに、凄いとしか思えない。
今回の『カレーライス』っていうのも、はじめての料理だった。
師匠であるエヴァンスさんは食べたことがあるのかで、号泣しながらもすぐにおかわりを店長にお願いしてたけど。私は、米にちょっと縁がある家の子どもだったから……こんな、汁物に近いものをかけて食べる文化は初めてだったのよね?
けど、野菜がごろごろなのにほくほくで。茶色のスープはとろみがあるけど、少し辛くてパンよりは米に合う味わい。ほんのちょっと、甘味を感じるが美味しく食べれた。
そして、気が付いたら一皿をぺろりと完食。
「サーラさん、おかわりいる?」
「はい! 美味しいです、店長!!」
「ありがと。少なめ? 同じくらい?」
「……同じくらいで」
「わかったよ」
そして、おかわりについても遠慮なく申し出ていいのが嬉しかった。
ちょっと可愛い寄りの男性だけど、ふとした笑みがかっこいいから副店長のラティスト先輩とは違う意味でモテているのは知らないみたい。まあ、エリーさんって腕っぷしも強くて美人の恋人さんがいるから、付け入る隙はないだろうけど。
「……店長。俺もいいだろうか」
「いいよー」
少し言葉が少ないイメージのキリアさんまで虜にするとは。一応貴族だけど、所作が綺麗以外は普通の男性なんだよねぇ? 休憩時間がいっしょになることはあっても、あんまり会話はない……というか、私だと会話がすぐ終わっちゃうかで難しい。
でも、力仕事でひょいっと粉袋を抱え込むとことかは感心しちゃうんだ。腕の力を結構使っているかで『ムキっ』と筋肉が浮き上がるとことか……あれ、なんか変な性癖持ちそう??
とにかく、もう一杯いただいたカレーを受け取ってから熱いうちに食べることにした。二杯目だけど、やっぱり適度な辛さがカレーパンよりもあって、少し甘い米と相性がいい。うちの縁戚、実は米農家なので。店長の仕入れルートにあるかわかんないけど、実家ではよく食べていたのだ。
「ケント、お代わり!!」
「ダメです、お師匠さん。お代わりしてない人もいるので、もうストップ」
「なぬ!?」
「あっしはいいでやんすよ?」
『……た、しも』
「カウルたちも遠慮しなくていいから」
「んじゃ! するでやんす~」
獣魔にも優しい店長は、SS級の錬金術師になったエヴァンスさんにも待ったを言えるくらい強いのよね……。と言うかこの場合、師弟が逆転しているような??
どちらにしても、このあとまた炊き出しの仕込みが続くので、いつもとは違う仕事内容を頑張らなくちゃ。雪深い季節になっても、陛下はこれでも早めに……らしいが。店長とマブダチだからって、半分以上自分がお忍びで期待から生産ギルド経由で頼んだのかな??
なんとなくだけど、夕方あたりに『エディさん』の姿で来そうな予感がするのよね……。
次回は月曜日〜




