第661話 結婚披露宴を①
冬の結婚式になったその日は、雪がちらちら降ったけれど。
教会で厳かに取り行われた結婚式は、魔法で空調管理してたから気にならず。
誓約って、しっかりした石板に魔法のペンでサインしたら終わり。ウェディングドレスはルゥさんは着てないけど……ちゃんとしたフォーマルドレスでサインしてた。ロイズさんもスーツに近い服装。
あとでエディに聞いたけど、王族以外の結婚式はそんなに派手じゃないらしい。なので、ライスシャワーとかブーケトスもない。
あれも異文化入り乱れだから……どれが正解かわからないもんね?
(よし、ここからが本番!!)
結婚披露宴が、僕たちのメイン会場と言ってもいい。
先にラティストが会場の会議室を綺麗にしてくれているらしいけど、途中で抜けたルカリアちゃんとどこまで仕上げているかなあ?
ラティストは特殊な大精霊ってことで、誓約に影響を与えるかもと離席してたんだよね? 闇属性はともかく、炎の属性で大変らしい……ってことで、ちらっと覗いてからは冒険者ギルドに行ってもらってる。
ルカリアちゃんもいるから、セッティングは大丈夫だと信じよう!! もともとお貴族様だし、パーティーが多かったから大丈夫と言ってた言葉を信じて!!
だけど、肝心のウェディングケーキについては……保証出来ないので、僕の収納魔法の中に入れてある。万が一……って言葉は重要だからね?
「お疲れ様〜」
「ケン兄さん」
会場にはカウルも先に来てた。僕の獣魔だけど、魔物が神聖な儀式にうんたらで……誰も気にしないと思うのに、なんて律儀なスライムなんだ!!
触手のテクニックも上がっているので、主にテーブルクロスをかけていたらしい。えらい子です!!
「皆ありがとう! 少ししたら、メインのふたりも来るし」
ケーキ以外にも、立食パーティーメニューの下準備はしてきた。
熱々出来立てとまではいかなくても、それぞれのギルドマスターが結ばれる結婚式ってことで……お祝い金以上に食材が届いたんだよね。ジェイドとか、他スタッフさんで今仕込み中。
もちろん、僕はケーキ以外にポーションパンを忘れないよ!! 今日は効能気にせずに、思いっきり食べるのがメインだからね!!
「さて、まずは!」
収納魔法を展開させて……サンドイッチの盛り合わせから取り出した。食いしん坊のラティストには、事前に念入りに釘を刺しておいたけど……やっぱり、空気が揺れた気がしたので振り返った。
無表情のように見えて、食べたいオーラ出まくっていたから……ダメだよと、また釘を刺す。どーして、食いしん坊が残念要素なのに可愛く見えちゃうかなあ……?




