第603話 心配しても今は
お待たせ致しましたー
何個かはいびつな形になったけど、それもご愛嬌ということで。
二次発酵が終わったら、カウルのオーブンで瞬間焼成!
この仕組みも、リトくんは慣れてきたようだけど。
「……これは、カウルさんだから出来るんですか?」
「そうだね」
『でやんす〜』
そう言えば、リトくんには獣魔とかいないから……もし独り立ちした場合の、ポーションパン製造ってどうなるんだろう?
カウルはもともと珍しいスライムからの進化だし……リトくんはもうちょっとでうちに正式雇用になるから、早いうちに確保したいと思ったが。
僕はイケメン神様に転生させてもらった、特典も込みでカウルを進化してあげれた。
でも、リトくんは見込まれているがこの世界の住人。
スライムじゃなくても、魔物を獣魔として契約したからって……イケメン神様がカウルのように変身能力を与えてくれるのかな?
「……ラティスト、ちょっと」
焼成から、すぐに冷やさずにラックに天板を移動させ……リトくんにはトイレに行かせている間、僕は急いでラティストに疑問に思ったことを伝えたんだ。
「……その発想はなかったな」
「カウルを継承するかどうかはわかんないからね。それに、リトくんの守りをつける意味でも獣魔は必要じゃない?」
「なるほど。一理ある」
「神様に相談する?」
「この場合は必要だな。ケントがいくか?」
「うん、そうする」
それだけは決めてから、僕は次の準備に移った。
戻ってきたリトくんには、また首を傾げられちゃったけど。
「ししょー。これ何ですか?」
器の中身はわかっているだろうけど、どうして使うかの理由がわからないようだ。
言葉少なだけど、僕も師匠としてだいたいの言いたいことはわかってきたんだよね。
「リトくんには、これからの仕事で任せたいことがあるんだ」
「まかせたいこと?」
「パンの顔を描いてもらうこと!」
「かお?」
「可愛く美味しいパンを作ろうって仕事だよ」
日本では多い、チョコペンでクリームパンとかの仕上げに施す……簡単に言えばキャラパン!
これ絶対、覚えて損はないと思うんだよね!
子どもとか喜ぶパンになりそうだから!
道具は竹串とスプーンにフォーク。
まずは、僕が手本を見せていくよ!!
「え? え??」
ボウルのチョコを道具につけて。
ちょいちょいとクリームパンに描いていけば。
今回はリトくんのデフォルメを描いたから、仕上がりを見てリトくんは驚いてくれたんだ。
「ここまでじゃなくていいけど。かわいいでしょ?」
「かわいい! すごい! ぼくもこれしていいんですか!?」
「そうだよ。クリームパンの作り方次第では他のも描けるから……今日の修行追加はこの練習だね」
「わーい!」
『私もやる〜!』
「いいよー」
チョコの固まり具合には注意するようにと伝え、二人で一生懸命描いていくのをちょっと見守ったけど。
前世で、僕がおばあちゃんとかとケーキにチョコペンで好きに描いていたような……一生懸命描いていくのと似たものが出来上がっていく。
最初はいいんだ、これで。
誰も最初はうまく出来ないんだから。
次回はまた明日〜




