第589話 護衛を誰に
お待たせ致しましたー
ケントから、さらなる報告があって俺は椅子からひっくり返った。
「カウルがエンシェントスライムに!?」
魔法蝶の中身を見て、俺はめちゃくちゃ驚いた。ケントが神の提案を受け入れずに自分で望んだ効能のポーションパンを作れるようになったのはまだ許容範囲だ。
ケントなら出来ると、俺は信じていたからな。
それはいいとして、カウルの方だ!!
「爺や!」
「はい、陛下!」
爺のギルハーツも聞いてたから、顔色は相当焦っていたぜ。
「ケントんとこに、暗部を放つことは得策か!?」
「……それはやめておかれた方がよろしいかと」
「だよなあ……」
ケントが転生者だと言う真実は、出来るだけ伏せておきたい。
ただでさえ、ポーションパン製造者ってことで狙う輩は腐った貴族らを含めて多かった。それは俺を含めて、リオーネの協力者の力もあったから……なんとかなった。
それと、創始の大精霊であるラティストと契約しているだけでも、狙われる要素はあんのに。
さらに増えるって、どーすんだよ!!?
下手に、ケントの秘密を公にはしたくない。
しかし、放置はマブダチを抜きにしてもしたくねぇ。
そこが非常に悩ましい……。
「陛下。私をお使いください」
ばんっと扉が開いたかと思えば、リリアが入ってきた!?
今日も元気で可愛いなあと思っている場合じゃない!?
リリアには、まだケントの秘密打ち明けてねぇぞ!?
「……リリア。どっから聞いてた!?」
「? 暗部のところですが。扉の外まで聞こえていましたよ」
「お、おう……」
俺の婚約者だが、腕の立つ存在。
ルカリアの親友で、ケントとも話しやすい。かつ、機転は利くから理解力も高いんだ。
とくれば……今が打ち明けるチャンスか??
首を傾げている姿は可愛いと悶えている場合じゃないと、俺はリリアの肩に手を置いた。
「陛下?」
「リリア、信じられないと思うが聞いてくれ」
「……はい?」
「ケントのことだが……あいつは転生者なんだ」
「………………はい??」
「ガチだ。しかも、師匠のヴィンクス=エヴァンスもそうだ」
「…………本当ですか??」
「マジだ」
呆れはしてないが、少し信じられないと言う表情。
混乱もあるだろうが、否定はしてない感じ。であれば、ケントの人柄も知ってるから信じてくれるはずだ!!
「……ですから、あのように特殊なパンを作れるのですか?」
「……神からの使命らしい」
「そ……うですか」
爺もハラハラしていたが、リリアは何回か瞬きをしてから強く頷いた。
「……リリア?」
「であれば、陛下の婚約者。守護する者のひとりとしてお使いください。近辺くらいであれば、返り討ちして差し上げます」
「……そこは、ルカとうまく連携してくれ」
「かしこまりました」
ダメと言っても動こうとすっから、ここは安全第一を伝えた上で頼むしかないな。
次回はまた明日〜




