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第521話 ちょっとずるい

お待たせ致しましたー

 ずるい。


 ちょっと……ずるい。


 シェリーは悪気がないのはわかってるけど……あたしより先に呼び捨てをお願いしたことが、ずるい。


 シェリーもだけど、ケントもお互いのことは友だちに思っているし……あたしは彼女なのに、タメ語はともかく呼び捨てにされていなかったんだから!!


 だから……あんな可愛くないお願いの仕方をしちゃったんだけど、ケントはすぐに呼んでくれた。


 愛称だけど……ちゃんと呼んでくれたことが嬉しい!! 胸の奥と背中がむずがゆいわ!! これが知人や家族と恋人の違いなのね……よーくわかったわよ。愛している相手からだと、幸福感が凄い違う!! ムズムズしてきて……凄い幸せ。


 難なく呼んじゃうのに、ケントはあたしに与えたそれを知らないでいるのかしら? あたしも言えたことじゃないけど、ケントもそれなりに鈍感だから……気づいていないでしょうね。今はレイザーにライスバーガーの作り方を教えている様子は楽しそうに見えた。



「ふふふ、エリー? 欲が出ちゃった?」


「!? シェリー!!」



 いきなり後ろに回り込むだなんて……戦闘中じゃ油断し過ぎて危険だけど、今回はプライベートだもの。油断なのも……仕方がないと言えないわ。


 振り返れば、シェリーは『にま〜』って笑顔でちょっと気持ち悪いわ!!



「私がお願いしたことに嫉妬だなんて、可愛い〜」


「……いいでしょ、別に」


「ふふ。『真紅の鷹』もかたなしねー?」


「んもぉ!」



 あだ名はともかく、あたしだってひとりの女なんだからいいでしょ!? 本当に!!


 シェリーはそれからもあたしをからかいながらも、ケントに作り方を聞いてから……どんどん食パンの生地を丸めていく。シェリーはジェフと同じ村の出身だけど、あたしと違って実家の家事は手伝ってたらしいからパン作りは初心者じゃないんだって。


 あたしも……ケントともし結婚するなら、冒険者を引退した場合手伝うことを今の内に考えた方がいいかしら?


 ルカリアさんは、主に接客だから製造はケントとリトくんがメインだそう。ラティストはどっちもだけど……最近は迂闊に手出ししようとしない馬鹿女冒険者たちをものともしないそうよ。例の事件があってから、馬鹿女たちはちょっと改心したと噂で聞いている。


 さておき、あたしもパン作りしなくちゃ。


 ケントもあたしのお願いを聞いてくれたから、とりあえずよしよよし!!


 ただ、生地から手作りするのは久しぶりだから……シェリーのようにうまくいかない!!


 丸めるのがただ横に転がすだけになっちゃう!?



「はい、エリー? そこは両手を使って、ゆっくり円を描くように」



 とここで、ケントが二度目の呼び捨てをしてくれて、きちんと指導してくれるのに……不意打ちだったから、めちゃくちゃ心臓がドキドキしたわ!!

次回はまた明日〜

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