第483話 そもそも作れるか?
お待たせ致しましたー
「シリカゲルを……我々で作る?」
魔法蝶が届いた時に、宛先がケントだったのでてっきりウェディングケーキについてかと思ったが全く別の内容だった。
そろそろ店じまいしようとしていたのだが、機材は片付けずにジェイドには待つように伝えた。
「なになに? なんか面白いことー?」
「面白いと言うか、ポーションパンを長持ちさせるモノを作る試みだ」
「え? 亜空間収納や魔法鞄とかあるじゃん?」
「それは、『可能』な人間とかの場合でしかない。そのどちらも所持していない人間にとっては、ポーションパンはすぐに食べないとダメになってしまう食べ物だからな」
その試みを、神に願い出るとは……実にケントらしいやり方だ。ラティストの力を借りたからこそ可能にしただろうが、魔法ではなく物理化学に手を出したのか?
たしか、魔法を使用するとポーションとしての効能が劣化するから悪い考えではない。魔石や魔鉱石を加工して利用する手段も悪くないだろう。
とくれば、私やロイズの手だけでは足りない。マーベラス殿にも助力を願わねばな? ケントの事だから魔法蝶は飛ばしているだろう。ついでではないが、陛下にも送ったはずだ。なら、開発の資金については問題ない。
「へー? そっかぁ。魔法とポーションって相性悪いの?」
「人間が存在する前はどうだった?」
「当たり前過ぎて、疑問すらなかったよ?」
「……そう言うものか」
精霊と人間では種族違いどころか、存在意義が違い過ぎるからな。概念すらなかったのは仕方がない。
しかし、現在は違う。
精霊は精霊の里と言う異次元にしか基本的に存在しないし、人間と契約しているのは召喚に応じたケースだから可能にしているだけ。
共存とも言い難いが、人間の方が蟻の如く増え続けては死んで行く存在だ。長命種である精霊らとは構造そのものが違うのに、人口数は圧倒的に差が出ている。
とは言え、彼の兄であるラティストは人間の少女を愛し、いずれは精霊に転身させるつもりではあるようだが。
(ともかく、魔法ではない資材を製造か)
マーベラス殿であれば、嬉々として受けてくれるだろうな。と言うか、飛んで来そうな……。
「ヴィー!! 来たでぇ!!」
タイミング良過ぎるだろぉ!?
ジェイドはやれやれと肩を落としていたが、私は呆れて大きくため息を吐くしかなかった。
次回はまた明日〜




