第284話 元気になって
お待たせ致しましたー
「まあ、リト。……買ってきてくれたの?」
おうちにもどって……お母さんのベッドの近くにイスを持ってきて。
すわってから……ポーションのパンをわたした。
お小遣いで、ちょっと使っただけで……買うことの出来たポーションのパン。
フレンチトーストって言うらしいんだけど……お店のお兄さん、てんちょーさんが言ってたけど、これで大丈夫だって。
お母さんが甘いものが好きだから……これなら、って教えてくれたの。
だから……はいって、わたした。
ゆっくり起き上がったお母さんは……笑顔で受けとってくれた。ちょっと、せきはしたけど。
「……食べてくれる?」
「もちろんよ。あなたが頑張って買ってきてくれたんだもの」
袋から出したお母さんは……手に、紙でちょっとつつんであるぶあつい四角のきれいなパンを出して。
また笑ってから……もぐって食べてくれた!
「わ!」
お母さんが食べたら……お母さんが真っ白に光って。
でも、すぐに消えて……お母さんはほっぺをピンクにしてもぐもぐしてた。
「美味しい! だるいのもスーって消えて……さすがは、スバルだわ。あそこのパンの効果は凄いわ!」
「! お母さん、もう大丈夫?」
「ええ。大丈夫よ。熱いのも寒いのもないわ! 咳もしないし、疲れてたのもスッキリ!!」
すごいすごい!!
てんちょーさんの言ってたの、本当だったんだ!!
お母さん、元気になれた!!
「おーい。薬草取ってきて」
お父さんが帰ってきた。
ぼくらの方に来ると……お母さんが持ってたパンを見て、『あ!?』と声を出したんだ。
「あら、おかえりなさい」
「……忘れてた。スバル行けば、ポーションパンあったのに。どーした、それ?」
「リトが買ってきてくれたのよ」
「……そうか。リト、えらいぞ? 父さんよりすごい」
「ほんと!!」
「小遣いだけで買えるのがあったのか?」
「うん! フレンチトースト!!」
「……食パンを焼いた? ように見えるが」
「甘くて美味しいのよ。お陰ですっかり」
「……俺一応冒険者なのになあ? 慌てて薬草取りに行っちまった」
「ふふ。心配してくれてありがとう」
お母さんが元気になった。
お父さんも帰ってきた。
だから、今度は。
三人で……あのパン屋さんに行きたいなあ。
今日は少ないって、てんちょーさん言ってたけど。
もっとたくさん、いろんなの見てみたい!!
「お父さん、お母さん! またあのパン屋さん行きたい!!」
ぼくのお願いを言うと……お父さん達は笑顔になって『行こう』って言ってくれたんだ!!
やった!!
次回はまた明日〜




