第199話 酔っ払い②
お待たせ致しましたー
……何やら、ケントが大変そうだ。
困っているが、喜んでいるような……手を貸していいのか悩む状況だ。
宴の最中だが、馴染みの客のひとりであるエリーが強い酒を煽り……かなり酔っ払い、ケントにしがみついている状況。
エリーは上機嫌だが、ケントはどうしていいのか非常に困っているようだ。
引き剥がすことは簡単ではあるが……ケントが然程困っているように見えないと言うことは。
「……ケン兄さん、エリーはんが好きなんでやんすねぇ?」
俺の横で、ちびちびと甘い酒を飲んでいるカウルが俺の言いたいことを代わりに言ってくれた。
「……わかりやすいな」
「いい事でやんすー。エリーはんも、兄さん好きのようでやんすし」
「……今は酒で素直になっているようだが」
「お互い、お付き合いすればいいでやんすのに」
「……だな」
ヒトと言うのは、短命であるがゆえに恋路などもすぐ結びつくらしいが……ケントは、どうやら慎重派というもののようだ。
周りの奴らも、エリーを介抱しようとしているが……エリーが力強くケントに抱きついているので、なかなか引き離せない。
エリーの顔はひどく上機嫌であるから……まあ、ケントは気付かずとも、周りにはわかっているだろう。
だからか、トラディス以外の男らは本気で止めようとしていなかった。
「……ラティスト兄さん、止めないでやんす?」
「…………酒精を抜く事は出来るが」
あの中へ飛び込めと?
あのように嬉しそうなエリーを正気に返らせ……また毛布の中などに潜り込ませたら、良くないとは思うが。
ケントに助けてもらい、契約した事で……俺も随分と感情が出てきたものだ。ヴィンクスのところにいる弟ほどでは無いが。
「なんだ? お前さん、なんか出来んのか?」
カウルと話していたら、レイザーがこちらにやってきた。エリーを止めるのは諦め、あまり話したことのない俺のところに来たようだが……何を話したいのだ?
「……術で、酒精を抜くだけだ」
「ほーん? ただの人間じゃなさそうだな? やっぱ」
「……気づいていたか?」
「ケントに何とかしてもらえた、魔眼のお陰だ。お前さん……なんか普通じゃねぇな?」
ライスバーガーで、解呪を可能と出来た……こいつの魔眼。
たしか……『真偽』とついたのだから、俺が大精霊だと言うのもおそらくバレているだろう。他の者の手前、あえて言わないでいるようだが。
「…………追求はしないでほしい」
「……わーった。とりあえず……面白ぇが、あれどうにかしなくちゃなんねぇなあ? エリーの本音はダダ漏れだけどよ」
「……やはり、ケントを……か?」
「知ってたのか?」
「確証を得たのは、あれを見てからだ」
「あっしもでやんすー」
「ほー? カウルも良い目してんじゃねぇか?」
たしかに、宴を中途半端で止めておくのもよろしくないか、と思い。
俺は立ち上がってケントらに近づき……エリーの頭にぽんと手を置いたのだった。
次回はまた明日〜




