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6話 政治

6話 政治

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「婚約者に浮気された上に一方的に婚約を破棄されて、実の父親からは勘当されてしまったと……」


 とりあえず、隠し事はせず包み隠さずにまるっと話しました。

 かなりの人が見ていましたので、調べればすぐにわかることですしね。

 それに、ここに入るのなら王子による婚約破棄や公爵による勘当は何も都合の悪い話ではないのです。

 隠す必要はありません。

 刑務所でより重罪で捕まった方がステータスになる、みたいな物でしょうか。


 あ、もちろん魔女のことなんて話てしていませんよ。

 話がこじれてしまいますから。


「本当に狂っています。この国の王族、貴族は……」


 反応は上々のようです。

 やはり、王族貴族に対する並々ならぬ反骨精神があるようですね。


 サクラも、本来はスパイとして潜入して来ていたのでしょうか?

 それともメイドとして使われるうちに嫌気がさしたのでしょうか?

 私の予想では後者ですね。

 流石にスパイが私のために公爵に辞表を叩きつけたりはしないでしょうし、後者ならメイドを止める理由の後押しとしてもちょうどいいですしね。


 何があったのでしょう?

 例えば、夜のご奉仕とか?

 お父様とサクラが……

 まぁ、サクラがナニをしてたのかは知りませんけど。


「あ、ごめんなさい。マルシアさんのことを悪く言うつもりはないの。マルシアさんが被害者だっているのはわかってるから、おかしいのは第二王子や公爵よね」


 変に気を遣ってくれる人ですね。

 やはり、悪い人ではないのでしょうか?

 いえ、犯罪組織のメンバーが悪い人ではないってのも変な話ですけど。

 メーンベルトにとって王族貴族こそが悪であるのならば、むしろ自らは進んで正義をおこなっているわけですしやはり善人なのでしょうか?


 ……私にはわかりませんね。


「いえ、私も同意見です」


 ですが、ここはは私の話を合わせておくのが得策でしょう。

 善悪なんてどうでもいいことなのです。

 ここの思想に合わせる、それこそが今の私のするべきことなのですから。


 体験自体は事実なのでそこを誤魔化すのはご法度ですが、私かどう感じたかなんて私しか知りませんから。

 いくらでも変更が効きますし、相手にとって欲しい言葉を言うことは思想の極端な相手であるほど簡単です。


「この国の貴族はおかしい。それは、昨日までの貴族だった私も含めてそうだと思います」


 何がおかしいのかはよくわかりませんが、彼女たちがおかしいと言うのだからおかしいのです。

 それが全てです。


「メーンベルトのみなさんは私の話を聞いて涙を流し、私のことをその広いお心で受け入れてくださいました。私は元公爵令嬢という危うい身の上で、受け入れるのにもリスクを伴うと言うのに」


 これは本当にそう思います。

 ただ、私のこと知らなかった時点でリスク管理もへったくれもありませんし、無能なお人好し感が私の中で出てしまっていますが。


「もちろんこの出来事は私にとっては辛い記憶ですし、それを理解していただけたのは嬉しい限りなのです。そうであると同時に、私が勘当される前まだ公爵家の令嬢だった頃、勘当という行為を全く目にしなかったわけではありません。私にはそう言う話を聞く機会があり、その頃の私の力を使えば多少の介入は可能だったことでしょう。それもほぼリスクを負うこともなくです。しかし、私は興味を示すことはありませんでした。日常の、例えば天気の話題以上に興味のない事柄として、会話の隙間を埋める程度以上の価値を見出すことはできませんでした」


 自分で話していて、自分が何を言っているのか理解が出来ないと言うなかなか体験し難い経験を得ました。

 これがなにかの得になるのことがあるのかは知りませんが。


「……それは仕方のないことです。こうして目が覚めたのですから、よかったではありませんか」

「確かに、マルシアさんは間違えてしまった。幸いまだ子供でしたし、被害者でもあります。これからやり直していけばいいのです」

「これからは共に悲しみ、手を差し伸べていきましょう!」


「はい!」


 相手の目を見て話を聞き、深く頷き、感銘したかのように感嘆を漏らす。

 最後には目を潤ませて、手を組んで拝んでフィニッシュです。

 明らかにオーバーリアクションです。

 ですが、私の話を聞いて輪で囲んで拍手したり泣いたしして見せる人々の集団です。

 オーバーぐらいがちょうどいいのです。


「話を戻しますが、それで行く宛のなかったマルシアさんをサクラさんがここに避難させたと言うことなのですね」


「はい」

「あの、お嬢様は確かにその身の上から狙われています。しかし、街の警備や国軍から手配され追われているわけではないので……」

「もちろん決して迷惑は掛けないよう私の方も」


「そんなこと心配しなくていいわ、サクラ」


 ふと思っていまします。

 サクラはどうして私にここまでしてくれるのでしょう。

 私をここに連れてくると言う行動は当然サクラにとってもリスクだったはずです。

 そんなことを思うこと自体が、サクラの行動に対して悪いことだとは思いますが……


「安心して、マルシアさん。私たちは哀れな被害者を、それも貴族と王族の横暴による被害を受けたまだ幼い少女を追い返したりなんてしないわ。それはメーンベルトではなくなってしまうもの」

「ただ、こちらで面倒を見るのなら多少のお手伝いはしてもらうことになるかもしれないけれど、大丈夫かしら?」


「もちろんです。わたし、頑張ります」


 とりあえず私の名演技のおかげもあって乗り越えられたみたいですね。

 私、女優になれるかもしれません。

 お手伝い、メイドの真似事でもするのでしょうか?

 あまり気は進みませんが、贅沢言ってられる状況ではありませんしね。


「頼りがいがありそうね」

「最近人手が足りなくてね、皆仕事があるから空き時間で回している人が多いのです」


「これでも家事は得意です。力仕事は少し苦手ですが」


「それはちょうどよかったわ。ぜひ、お願いしようかしら」


「はい」


 まずは様子見です。


 私には目的がある

 しかし、焦って仕舞えばそれは達成できません。

 何事も準備が大切なのです。


 助力が得られれば多少は楽になるのですが、魔女の話なんて協力してくれる人がいるとは思えません。

 サクラですら信じてくれませんでしたし、そもそもおとぎ話だと思っている人がほとんどなのでしょう。

 私1人でやり切らなければなりません。


 協力はできなくても、利用ならできるかもしれません。

 とりあえず、目標は近いのです。

 私の目指す先と、このメーンベルトの目指す先は。


 フローラは既にカローイ様の婚約者で、お父様も洗脳済みとなればいずれは王女にまで上り詰めることでしょう。

 もしかしたら、女王にすらなってみせるかもしれません。

 だとしたら、途中まで目的を共有できます。


 彼らの目的は王政の打倒、そして新しい政治の施行です。

 民主主義でしたっけ?

 あまり賢いとは思えませんが、思想はどうでもいいのです。

 要は王政の打倒、その直前までフローラを追い詰めるところまでは目的を共有できると言うことです。


 もっとも、最後は助けたいものと殺したいものが被ってしまうので協力と言うわけにはいきませんけれど。

 利用できるか、利用するとしてどのように動くのかまず調べなければ。

 それまでは家政婦の真似事でもして、とにかく生き延びることのみに注力しましょう。


 フローラを殺し、カローイ様とお父様を救い出すために。

感想、評価、なんでもいいので反応もらえると嬉しいです。

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