第二話
瓜子姫の織っている音が止まった。
(今だ)
「ここをあけておくれ。出来たよ」
瓜子姫がそっと戸を開ける。
「はい、これ」
「成功したら、君の家に天邪鬼族の集団が来る。楽しみに待っててね」
「ええ」
コウは瓜子姫の家を後にすると二上山を登って行った。そして、夜を待った。
幸いにも今日も雨でもなく曇りでもなかった。
星空が輝いてる。
空界の封印を解くには雨や曇りではだめなのだ。もちろん昼間でもダメである。星々から魔力を集めるのである。
コウは呪文を唱えた。すると次々石が集まっていく!
それは石畳となった。よじ登るコウ。そして石畳の上に昇って御印が描かれた幡を掲げ呪文を唱えた。
すると次々空にヒビが入っていく。しかし天津神らはこの光景をすぐに察知した。そして天照が命令を下した。
「布刀玉命よ、あの石畳を風で飛ばしなさい」
「御意」
そう言って天空から布刀玉命が降りて来て羽団扇を仰いだ。
なんという風だろう。コウは呪文で足場を固めるも風で吹き飛ばされそうだ。
(せめて星の力を石に込めて)
コウは隠し持っていた石を掲げて星に向かって呪文を唱えた。すると石が光りだした。石畳が落ちて行く。このままでは石畳の下敷きになる!! 慌てて転移呪文を唱えて事なきを得た。
「この御印は……。すぐに報告せねば」
布刀玉命は天空に昇るようにして帰って行った。




