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第一話
「君が空から織ったものは神力が込められている。織ったものに御印を付けて天空にある鍵を開ける。御印が鍵になる。そこから僕たち天邪鬼が奪われた土地を、厳密には空界を奪い戻す。そこに君を住まわせて居場所を確保する」
「ええ……」
「それって、侵略じゃ」
「侵略したのは、どっちだい?」
「あ……」
「織ってくれるね?」
「でも……」
「君の異常な成長を止めることも出来るよ」
「えっ?」
「このままじゃ君はあと三年で寿命だよ。というか君は天邪鬼族にとって文字通り『鍵』として生まれて来た。成功したら、君も神様に戻れる。本当は、君も天邪鬼の血を引く織姫だよ」
「ええ?」
「だからこうして君を守ってる」
「これが御印」
それは不思議な幾何学的文様だった。
「君が織物ができる成長まで待っていた。というか守って来た」
「してくれよね?」
「ええ……」
「後悔はさせないよ」
二人の上には星が輝いていた。




