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瓜子姫と天邪鬼の冒険譚  作者: らんた
砂丘を作り、神様を取り返した天邪鬼
82/122

~序~

 「なんだ、ここは入江だらけだのお」


 「じゃあおれが埋め立てて田んぼにしちゃる!」


 天邪鬼のクムはバキバキ音を立てながらだいだらぼっちになった。クムは敵である八十神やそがみ側の天邪鬼と戦い、勝ち、喰うことでだいだらぼっちになる力を得た。


山を削り、入江を無くす。


「砂があまったのお。砂も一か所に集めて入江を無くすか」


 こうして出来たのが鳥取砂丘である。クムはこうして国づくりを行っていた。元の大きさに戻るクム。


 国づくりの完了を報告しようと出雲へ行くときに従者からとんでもない事を聞いた。


 「国が……国が……」


 「どうしたロロ、しっかりしろ」


 「大国主様が……天津神の侵略を受け……」


 「国を譲られました!」


 「なんだって!?」


 「タケミナカタ様は敗走中! こちらにも軍隊が来ます!! 大軍勢です!!」


 「みんな引くんだ! 但馬たじままで逃げるぞ!!」


 しかし多勢に無勢。次々討ち取られていく天邪鬼。


 「裏切者の御熊命みくまみことを出せ!!」


 「そうすればお前らの命は助けてやる」


 その声に従い御熊命は前に出た。


 御熊命は天照の命を受け大国主に国譲りを迫るはずであった。しかし大国主に説得され国津神側に寝返った神である。


 「ご苦労だったな。お前らは用済みだ」


 言うやいなや次々従者である天邪鬼の首が跳ねられる。


 「クム、逃げろ!!逃げるんだあ!」


 仲間の断末魔を聞きながらクムは屈辱の思いで拠点に戻り隠れ蓑を着て空を飛び命からがら隣国の但馬の国に逃れた。


 これは当時の因幡の国、今の鳥取を作った鬼の真の物語。


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