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瓜子姫と天邪鬼の冒険譚  作者: らんた
人間を食べることを願った天邪鬼
72/122

第二話

 スキトは熊野権現の神社にやってきた。


 スキトは瓜に呪を唱え、自分の毛髪を埋め込んだ。


 (これで、保険はOKと)


 社の前で呪文を唱え、願いを述べた。


 神は、この願いを悲しんだ。


 ――お前は、人を食うのか。


 「はい。僕は、弟を救いたいんです」


 その願い、かなえてやってもいい。この向こうの山のふもとの里の人間を一人、喰ってよい。


 「本当ですか!」


 ――ただし条件がある。


 「その条件は?」


 一晩でこの社に石の階段を百段で作れ


 (なんだ?簡単じゃないか)


 「はい、やります」


 ――もし失敗すればお前の命を奪う。それでもやるか?


 (やはり……。ただでは試練を与えてくれないか)


 「はい、それでもやります」


 夜になるとスキトは呪を唱えると巨大なだいだらぼっちになった。


 スキトは敵対する天邪鬼と戦い、喰ったのでだいだらぼっちに化けることができる。


 そしてこの芦原中津国を作ったのはだいだらぼっちになれる天邪鬼なのである。


 雲にも届きそうな背丈になったスキトは呪を唱えまるで磁石のように石を集めては階段を作った。


 (簡単だぜ。百段の階段)


 作業は順調に行っていた。


 (まずい、このままではふもとの里の者は鬼に食われる!!)


 熊野の神は呪文を唱え手を喉に当てた。


 そして鶏の鳴き声を次々響かせた。


 「ば、ばかな……」


 「夜が明けるのはもっと先のはず!!」


 石の階段は九九段に達していた。


 ――約束通りお前の命を奪う。


 声が聞こえるとだいだらぼっちの姿のスキトの頭上に巨大な閃光が降り注いた。


 別府の地に凄惨な檀松が響き、巨大なだいだらぼっちは頭、体、足の順に次々消えていった。鬼守の剣が元の大きさに戻り乾いた音を立てて転がる。



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