第三話
三日後必死に織っているウーフメを見てたまには芝居小屋に行こうと両親が誘った。なんていい生活なのだろう。ウーフメに化けたニメは喜んだ。しかし芝居小屋への道のりはあのウーフメを縛り上げた柿の木があるところだった。
(やばい。見つかってしまう)
やがて柿の木に差し掛かった。
「お父さん、おかああさん。ここだけは目をつぶって通ってくださいな」
(はて、この子は不思議な事を言うもんじゃのお?)
どうしてもとせがむウーフメに根負けした両親は分かった、分かったとばかりに目をつぶる。
ウーフメことウメはもう三日も縛られており死んでいた。ニメはひやひやしながら上を見ながら両親の腕を繋ぎながら歩く。
その時突然ウーフメの目から大量の血が流れた。
――ぽたっ、ぽたっ!
血は両親の顔に付き、両親は思わず血を飲んでしまった。見上げるとそこにはウーフメの死体があった。
「お前は偽物じゃな!」
「ちっ!ばれたか!!」
そういうと呪文を唱え本性を現すニメ。だが驚いたのは老夫婦の姿だった。めきめきと筋肉は盛り上がり目が赤く染まり爪と牙と角が伸びる。
ニメは鬼の力でその場を逃げ出すもあっという間に捕まる。
「来い!鬼よ、成敗してやる」
鈍い音が木霊しニメの悲鳴があがる。腕を折られた。
こうして家に連れ戻されるとニメは老夫婦の持った鉈で細かく刻まれ肉を川に流した。
すべてが終わると老夫婦の体が元に戻った。
「ウーフメ!!」
老夫婦はその場で慟哭した。老夫婦は泣きながらウーフメが釣られている樹に戻り、ウーフメを降ろし家に戻って静かに寝かせた。




