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~序~
<ここは山の上の空界 天邪鬼が住まう場所>
「姫、危のうございます!!」
「大丈夫よ、これぐらい!!」
姫は今日も2階のベランダからするりと排水溝を使って降りてくる
「テオ王女!!」
「うるさいわねえ!! これでも食らえ!!」
そう言うとくるっと回って足蹴りを食らせた。
「ぐあっ」
「ふっふっふ、これぞ武術の成果よ、サオ」
サオは起き上がる。
「王女、いけませぬ。このままではだれも嫁に来なくなってしまいます」
「ふっ、それこそ天邪鬼の真骨頂。男らしく、女らしくなんてまっぴらごめんだわ」
「このままでは私の首が飛んでしまいます」
姫のいたずらはひどかった。門にタライが落ちるよう細工する。毛虫を宮中の女性に付ける、男顔負けの武術をこっそり城下町の道場で身に着け……武術を披露するなどさまざまであった。
これは加賀、後の石川県に伝わる変わったお話。




