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瓜子姫と天邪鬼の冒険譚  作者: らんた
天邪鬼の復讐
44/122

最終話

アメは鬼が島に戻り首を玉座の後ろにある壁の穴に飾った。そのあとアメは正式に鬼が島の女王となった。女王になる式を終えた後、両親の墓の前で報告し、泣き崩れる。

 「おとうさん、おかあさん、私やったよ」

 その後アメは事の顛末を書き記した。そして二つの物語が誕生した。一つは「トトとアバ」、もうひとつは「瓜姫と天邪鬼」である。元の伝承と改変した伝承を書き写し、改変した伝承を各地で偵察部隊の鬼が伝えた。

 元の伝承であった書物が見つかったのははるか千年も後の事で世は平成となっていた。伝承を記した巻物は廃寺で見つかった。

 一方、村人たちは惨殺されたセトの姿を見つけた。村人はこの鬼に哀れと感謝の意味を込めて鬼首無神社を作り、祭ったという。


 終


【元伝承】

 本作品は瓜子姫伝承で一番残酷な東北伝承群と秋田民話「トトとアバ」を基にして創作に至ったものです。


 ハイヌヴェレ型神話の中で瓜子姫だけが犠牲となり瓜子姫を育てた爺と婆は何も知らずに瓜子姫の血肉を細切れにしたみそ汁として爺と婆へ飲ませ「竈の下を見ろや」と言って正体を現した天邪鬼が逃亡して終わるという「カチカチ山」の説話にも通じます。このように昔話には各説話群に共通点がございます。

 ここからは推測ですがこの説話で言う天邪鬼とは東北の土着民つまり蝦夷えみしで瓜子姫の場合は大和から来た人間の娘という意味で……ある意味蝦夷側の恨みがさく裂した説話とハイヌヴェレ型神話が合体したものではないかと推測します。それではあまりに救いようがないので元説話を改造しました。なお別の伝承として青森県の日本海側の島に鬼ヶ島があるという伝承とも合体させております。


 次にトトとアバの概要はこちらです。

【元伝承】

 本作品は瓜子姫伝承で一番残酷な東北伝承群と秋田民話「トトとアバ」を基にして創作に至ったものです。


 ハイヌヴェレ型神話の中で瓜子姫だけが犠牲となり瓜子姫を育てた爺と婆は何も知らずに瓜子姫の血肉を細切れにしたみそ汁として爺と婆へ飲ませ「竈の下を見ろや」と言って正体を現した天邪鬼が逃亡して終わるという「カチカチ山」の説話にも通じます。このように昔話には各説話群に共通点がございます。

 ここからは推測ですがこの説話で言う天邪鬼とは東北の土着民つまり蝦夷えみしで瓜子姫の場合は大和から来た人間の娘という意味で……ある意味蝦夷側の恨みがさく裂した説話とハイヌヴェレ型神話が合体したものではないかと推測します。それではあまりに救いようがないので元説話を改造しました。なお別の伝承として青森県の日本海側の島に鬼ヶ島があるという伝承とも合体させております。


 次にトトとアバの概要はこちらです。

『トトとアバの間に赤坊がうまれる。或る日、トトは乳を買いに町へ出かけた。その間に鬼がやつて来て「アバ戸を開けろ」と戸を叩く。アバは黙つていたら鬼は戸を壊して中に入つてきた。鬼は床の中の赤坊を箱に入れて縄で杉の木に吊し、アバを山のカヤの刈かぶの上を曳きずり、鬼ガ島まで連れて行く。トトが帰つて来てやつと赤坊が見つかつたが、アバの姿が見えず、泣きだしてしまう。赤坊を隅にかくしたトトはアバを探して山に行き、血の跡だどつて鬼ガ島に出る。鬼はトトを見つけて、後を追いかけて来る。村境で捕まつたトトは赤鬼・青鬼達から舟にのせられ、鬼ガ島に連れて来られる。そこでアバの血を飲まされ、トトは逆に鬼共を退治して戻ってくる』


 堀内正文「秋田県の昔話―仙北郡外小友村」『日本民俗学』3(1)号 実業之日本社 1955年 p.109『トトとアバ』より


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