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~序~
偵察を見破られた。隠れ蓑で姿を隠し、飛行をしていた。敗走だった。鬼として屈辱だった。傷が深いのか飛ぶ力もなくなり、やがて低空飛行となり、さらに空から落ちた。脚をくじいた。
(俺はここで死ぬんだ)
隠れ蓑はずたずたに破れ、己の姿を現した。赤鬼の少年だった。そんなとき、1人の娘が駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか!」
人の子らしい。警戒した。鬼として成敗されるのではないかと。でも違った。
「今、包帯巻きます。待ってて」
そういって家に戻って包帯を持って来る。
「いいのか、俺は鬼なんだぞ。人間に害するかもしれん」
でも黙って包帯を巻く少女。
「ありがとう」
「君の名は?」
「私の名前は瓜姫」
「僕は天邪鬼のトト」




