第六話
どんどん空の鳥舟は進撃していく。空の鳥舟はかの屈辱的な国譲りの時に使われた天の鳥舟に対抗した軍船であった。天界の門が見える。
「砲撃開始!」
そして天界の門が砕かれた。
「今だ!天界を攻めろ!まずは砲撃だ!」
大砲は光をためると閃光を吐き出した。崩れゆく天界の建物。あちこちに飛び交う悲鳴。対空砲などの反撃施設はことごとく潰していった。
「砲撃止め!天邪鬼らよ、ついに天空宮を攻める時が来た」
そういうと次々天邪鬼の兵士が飛び出す。
◆◇◆◇
「ついに来ましたね」
「はい、天照様。天邪鬼一族に不穏な動きがあると聞いているのですが。まさか本当に玉砕覚悟で天界を攻めに来るとは」
「軍隊の規模はどう?」
「はい、主に西日本の天邪鬼がこちらに向かっていると聞いております。もっともこちらの兵力の五分の一ですが」
「その程度なら私一人でも十分。私はこれから太陽の間で神力を貯めます。それまで対抗するふりをしなさない」
「御意」
◆◇◆◇
「やつらはこちらが5分の1以下の軍事力で攻めて来ていると今頃馬鹿にしていると思うぞ」
「だがこちらには近代兵器があるのだ」
次々軍隊を破滅させる閃光を見ながらうれしそうに言うラン。
そんな時であった。空がどんどん暗くなっていく。
「なんだ?」
「何が起きた!?」
天界の空がどんどん暗くなっていった。
「空界の空はどうなっている!?」
「援軍からの知らせです。空界も同じです。どんどん暗くなっていきます。まるで夜です」
「地上界は?」
「それが……部分日食が起きています!」
「報告いたします。相手の王、天照が天空宮内太陽の間で引きこもっています。各地の光が無くなったのもその影響かと」
「はあ?」
ランは愕然とした。まるで悪魔のような女王を想像していたからだ。天界の大軍を向けられ天邪鬼一族は虐殺も覚悟の上の進撃だったからだ。なのに……。
(我らが戦っている相手の女王は、こんなにも腰抜けの太陽神だったのか……岩戸伝説は嘘ではなかったのか……)
(まさか一族の天敵がこんな腑抜けだったとは……)
(こんな敵に我々天邪鬼一族は千年も屈辱を味わったというのか!)
ランはいろんな感情を吐き出した。




