第四話
暗殺者が裏口から入ろうとしたその瞬間、暗殺者が炎に包まれた。町中に響く悲鳴。
「騒ぐな。みっともない」
そう言うと狐鬼が暗殺者の首を短刀で刺す。
「逃げるのもみっともないよね」
炎が逃げる三人を追尾し、三人は焼けただれる。
狐鬼は仮面から喉を鳴らしながら一人ずつ業火で焼き殺した。始末すると狐鬼は裏口に袋を置いてこの街を後にした。
瓜姫は裏口に置いてあった袋に驚愕する。お金と手紙があった。
『このお金は稲荷大明神からの恵み。ありがたく受け取るがよい。瓜姫とエトへ 狐鬼』
それは十日分の宿賃に相当するお金だった。
エトは一日ずっと寝込んでいた。翌日目が覚めた。瓜姫が歓ぶ。そしてエトも狐鬼が書いた手紙を読んだ。
「監視者が僕たちを守ってくれた」
「でも、狐鬼になるべく甘えないで祭壇に行きましょうね」
「うん」
午後に二人は宿を後にする。町から離れていく2人を確認する狐鬼。
「その金はあちこちある稲荷神社の賽銭箱から盗んだものだから大事に使えよ」
嬉しそうに狐鬼はつぶやいた。
(エト、がんばれよ)
◆◇◆◇
鬼亡の本部は京の都にある。宝玉から報告を聞く主。
「情けない!お前らは何やってるのだ!」
「申し訳ございません」
「よい。陸前に居る陰陽師集を派遣する」
「はっ」
手をかざすと宝玉の光は消え、再び全てが射干玉の黒に包まれる。
「京を甘くみたらあかんで」
闇の中で主がつぶやいた。
◆◇◆◇
和賀に向かうべく北上川を北上する。あたりの農村は飢餓で苦しんでいる。自分たちの旅がいかに重責なものかを痛感する。
村に差し掛かった。
「今日はここで泊まりましょう」
そういった時だった。白の装束を着た者たちに囲まれた。
「瓜姫と天邪鬼だな。ここで死んでもらう」
一方二人の後を追っている狐鬼も白装束を着た者たちに囲まれた。
「鬼は退治しないとね?」
狐鬼は焦った。助けに行けない!?




