第二話
「はじめまして。僕は羅刹のザキ」
獄卒だけあってごつい鬼だ。男の鬼だ。そして書状を読み上げる。
「瓜子姫、貴殿の罪は裁くに値しない。よって不起訴処分とする」
「さて、瓜子姫。2つ選択肢があるんだ」
「一つはもう一回人間界に戻って人生をやり直す」
「もう一つは鬼となって君を殺した夫婦に復讐することさ。あなたには復讐権が生じる。無回答の場合強制的に鬼にする。鬼となった場合天邪鬼族の鬼にするから。どうする?」
「もし、もし復讐を終えた場合私のおじいちゃんやおばあちゃんを面倒見ることは出来る?」
「出来るよ。でもきっと君は鬼として成敗されるよ。たぶんね」
「そんな……」
「だから遠くからそっと見守ることしかできない。復讐の道でいいんだね? 外道に行くんだね?」
「はい……。私あいつら許さない」
「じゃあ君をこれから転生させる」
「ただし人間と違うのは前世の記憶があることだよ」
するとザキは呪文を唱えた。瓜子姫はどんどん小さくなっていく。
しまいには赤子になった。角が生え、牙も生えている。
「赤子はもらう」
「了解です」
同席している獄卒が顛末を記録する。
「じゃあ次の獄卒が来ると思うから。僕は天邪鬼がいる空界まで行ってきます」




