~序~
「ごほっごほっ」
「おじいさま、大丈夫?」
「すまんのおお前にこんな苦労掛けて」
「いいの。私おじいちゃんが拾ってくれなかったら生きてないと思うし」
「瓜子姫や、すまないねえ……」
東北には飢餓が広がっていた。ゆえに子捨てが流行っていた。瓜子姫と呼ばれる子も瓜の木に縛られていたのだ。
いつも瓜子姫が楽しそうに機織りしていた織機も蜘蛛の巣が張っている。
「待って、おじいちゃん。食べ物持ってくる!!」
「食べ物って、そんなものどこに?」
「いいから!」
瓜子姫は家を出るとしばらくして豪農の畑に向かって走った。そこには立派な桃が実っていた。そっと周りを見渡して桃を取る瓜子姫。
しかし。
「おい! そんなとこで何をやっている!!」
なんと見張りが居たのだ。逃げる瓜子姫。だが子供の足ではすぐに追いつかれた。
「この桃泥棒が!!」
「離して!!」
「ダメだ!! オヤジさんのとこに連れていく!!」
こうして瓜子姫は豪農の家に連れていかれました。
「泥棒はいかんな。泥棒は」
そう言いながら丸太を持つ豪農の主
「こらしめてやりましょう」
豪農の母が言う。
こうして瓜子姫は丸太で撲殺され、死体は見張り番によって川に捨てられた。
これは山形に伝わる悲しいお話。




