五時間目
五時間目 手傷
次の日も、付近を探索した。あの小屋にいては狙いを付けられやすい。それだけはまずかった。僕たちは生き残らなければならないんだ。でもさすがに自分の手でクラスメートを殺すのは気がひけた。敵に会わないよう、懸命に祈りながら歩いた。と、急に足元に何も無くなったという感覚と共に体のバランスが崩れ、落下した。僕の手を握っていた相馬も一緒に転落し、僕たちは気を失った…。
「……赤木君…赤木君……。」相馬の声で僕は目が覚めた。どうやらかなり高いところから落ちたようだ。頭がボーっとする。体を見るとあちこちにかすり傷ができ、服も泥だらけだ。相馬もかなりの量のかすり傷が出来ている。
「良かった…。目を覚まして。心配したんだよ、すごく」
「あぁ…ゴメン。でも大丈夫だよ。さ、行こうか。」
立ち上がろうとした時、足首を激痛が走った。(捻挫か…くそっ。こんなときに…。)すぐへたり込んでしまった。こんなときにこんなことをしている場合じゃないということは分かりきっていたのに、体が言うことを聞かない…。
「大丈夫!?…痛っ…。」なんてことだ。相馬も同じように捻挫しているようだ。それも僕は片足だったが相馬は両足だ。顔をしかめ、つらそうな感じだ。僕は何とか歩けるが、彼女は無理だろう。僕は直感で行動した。
「乗って。僕が背負うよ」背中を差し出し、つぶやいた。相馬は最初、戸惑ったような表情をしていたが、やがて微笑み「ありがとう」と言って僕の背中に体を預けた。こんな状況で敵に遭遇したらひとたまりもないだろう。でも動かないわけにはいかない。僕らが落ちたときに出来ているであろう跡を見られたらすぐにやってくるだろう。そこで僕らは殺される。そう思うと行動せざるを得なかった。(しかし今日はあまり敵に出会わないな…。)そんな感じがした。
その頃首相の部屋では‘賭け’に負けた男たちが地団太を踏んでいた。実は今年は例年以上に生徒の減りが早いのだ。脱落した生徒は今日だけで
石田芳樹、上田瑞穂班 他殺
片野俊彦、片山恵子班 自殺
柏原孝明、今田香奈班 他殺
山本隆二、南佳織班 他殺
脇賢治、根岸千里班 自殺
残り9チーム
と減ってしまっている。それに自殺の割合が多いのも特徴の一つだ。今のところ上野隆弘、新岡真由班が有利に思われた。
そして二日目が終了した…。