二時間目
二時間目 最初の犠牲者
こうして何もわからないまま殺人ゲームは始まった。
「相馬、とりあえず、こっちへ。」そう言って相馬を連れてその場から立ち去ろうとしたときだった。急にパァンという破裂音が鳴り響いた。相馬は振り返ろうとしたが僕はそれを制した。何が起こったのかはわかっていた。鳴り響くパートナーの悲鳴。それは紛れもなくこのゲームによる最初の死者が出たということだろう。確実に人は死んでゆく、そしてそれが僕らの絆を断ち切っていくのを体が感じていた。振り返ったがすぐに目を背けた。相馬にこんな物を見せるわけにはいかない。ぼくは走るスピードを速くした…。
梨本大輝、渡川琴音班、ゲームオーバー
「くそっ。当てがはずれた。なんでよりによって最初に死ぬんだ。馬鹿者が。」
内閣首相の部屋で男がうなった。
「まぁまぁ。運が悪かっただけですよ。また来年がある。それまでの辛抱です。」
息切れがする。後ろに付いてきている相馬もかなり苦しそうだ。僕は立ち止まった。ほかの人間が見えなくなった所で握っていた相馬の手を離す。そこでしばしの休憩を取った。ところでこの武器はどうやって使うのだろうか。試し撃ちしてみようかとも思ったがそんなことでクラスメートに見つかって殺されたのではだめだ。とりあえず付近を探索することにしてみた。相馬は終始僕の手を握っていた。小屋があったのでそこを拠点にすることにした。
小屋に入ろうとした瞬間、後ろで木がこすれるような物音がした。振り返っても誰もいない。ほっとして前に向き直った瞬間、僕の第六感がせわしなく動き始めた。僕は何も考えず側にいた相馬の手を引き藪の中へと飛び込んだ。その刹那、大地をふるわすほどの爆音が鳴り響いた。どうやら手榴弾を使ったらしい。持っていたのは確か滝沢と青木だったはずだ。奴らは僕たちを殺したと思ったのかさっきまで僕たちがいた場所に出てきた。今こいつ等は油断している。殺るなら今しかない。