十時間目
十時間目 伝わるオモイ
僕たちは眠れぬ夜を過ごした。そして朝を迎えた。(あぁ。今日で長かったこの戦いも終わるんだな)しかし油断は禁物だ。どれだけ敵が残っているのかも分からない状態だ。僕らは昨日同様、島中を探索した。しかし、なかなか敵に会うことはない。
(もしかしてもう残っているんは僕たちだけじゃないんだろうか)とおもっていたのがしてはいけない油断だった。
パァンと破裂音がした。
「あぅ……。」
銃弾は僕の脇を通り抜け、少し後ろにいた相馬に襲い掛かった。
「う…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
僕は完全に自制心を失った。かまわず銃を乱射し、相手が戦闘不能に陥ったと分かっていてもとめることが出来なかった。弾切れになるとナイフで切り刻み続けた……。
気付くと血まみれの自分と敵がいた。もう相手は息をしていなかった。
「相馬……」
僕は急いで相馬に駆け寄った。「おい…おい」声を掛け続けた。
「………い…..おい」なんだろう、私を呼ぶ声がする。
うっすらと目を開けるとそこに赤木君がいた。
「良かった。死んじゃったのかと思ったぞ」
体を起き上がらせようとして私は腹の辺りの激痛に気付いた。あぁ、そういえば誰かに撃たれたんだっけ。その人たちを赤木君は殺して…。悪いことをさせちゃったな。「ゴメンね。何か」
「何でお前が謝る必要があるんだ?もともと僕がちゃんと注意をしてなかったのがいけないんだ。ゴメン。僕の不注意のせいでこんなことになっちゃって。本当に、ゴメン………。」
「いや、いいんだよ。私はね、この数日間だけでも赤木君と一緒にいられて良かった。っていまは思ってる。私ね、こんなことになる前、まだ学校生活をしていた頃、いつも赤木君のこと見てた。私は赤木君のこと、だいぶ前から大好きだったんだ…。こんな伝え方になっちゃってごめん。それで、私のことは気にしないで?赤木君は私のかわりにクラスメートの仇をとってあげて。それにこれ以上私たちみたいな犠牲者を出さないためにも。ね?お願い。」
それだけ言うと彼女は幸せそうに微笑み、息を引き取った………。
「う…うわあああああああ!!」
大事な人を失う、その気持ちが僕には痛いほど分かった。こんなにもつらいのか、大事な人を失うということは。理不尽だ、あまりにも理不尽だよ。