表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

十時間目

十時間目 伝わるオモイ

 僕たちは眠れぬ夜を過ごした。そして朝を迎えた。(あぁ。今日で長かったこの戦いも終わるんだな)しかし油断は禁物だ。どれだけ敵が残っているのかも分からない状態だ。僕らは昨日同様、島中を探索した。しかし、なかなか敵に会うことはない。

 (もしかしてもう残っているんは僕たちだけじゃないんだろうか)とおもっていたのがしてはいけない油断だった。

 パァンと破裂音がした。

 「あぅ……。」

 銃弾は僕の脇を通り抜け、少し後ろにいた相馬に襲い掛かった。

 「う…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 僕は完全に自制心を失った。かまわず銃を乱射し、相手が戦闘不能に陥ったと分かっていてもとめることが出来なかった。弾切れになるとナイフで切り刻み続けた……。

 気付くと血まみれの自分と敵がいた。もう相手は息をしていなかった。

「相馬……」

僕は急いで相馬に駆け寄った。「おい…おい」声を掛け続けた。


 「………い…..おい」なんだろう、私を呼ぶ声がする。

 うっすらと目を開けるとそこに赤木君がいた。

 「良かった。死んじゃったのかと思ったぞ」

 体を起き上がらせようとして私は腹の辺りの激痛に気付いた。あぁ、そういえば誰かに撃たれたんだっけ。その人たちを赤木君は殺して…。悪いことをさせちゃったな。「ゴメンね。何か」

「何でお前が謝る必要があるんだ?もともと僕がちゃんと注意をしてなかったのがいけないんだ。ゴメン。僕の不注意のせいでこんなことになっちゃって。本当に、ゴメン………。」

「いや、いいんだよ。私はね、この数日間だけでも赤木君と一緒にいられて良かった。っていまは思ってる。私ね、こんなことになる前、まだ学校生活をしていた頃、いつも赤木君のこと見てた。私は赤木君のこと、だいぶ前から大好きだったんだ…。こんな伝え方になっちゃってごめん。それで、私のことは気にしないで?赤木君は私のかわりにクラスメートの仇をとってあげて。それにこれ以上私たちみたいな犠牲者を出さないためにも。ね?お願い。」

それだけ言うと彼女は幸せそうに微笑み、息を引き取った………。

「う…うわあああああああ!!」

大事な人を失う、その気持ちが僕には痛いほど分かった。こんなにもつらいのか、大事な人を失うということは。理不尽だ、あまりにも理不尽だよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ