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9話 協力者マムロン2

『この初見パンツ見せ女マムロンが協力者よ、あいっち』


トゥーナは腕を組んで高らかに言った。


『ちなみにここまでたどり着いたプレイヤーのすべてが彼女のピンク色のパンツを見たわ!』


ええいそんなこと言わなくていい!

それより気が付いたことがある。


「このマムロンという魔法使いは勇者のことを勇者だと知っているのか」

『おそらく唯一の勇者を勇者と知っている者っしょ』



「勇者ァァァァ!!」


マムロンは叫びながらまだ勇者の胸倉をつかみぐわんぐわん揺らしている。

おかげで勇者が白目むいてるぞ。


「勇者ァ…」


マムロンの目に涙があふれて、揺らしていた手がとまっていく。


「生きててよかったぁ…」


マムロンは泣き始めた。



「トゥーナ、解説が欲しいのだが…」

『んあー?』

「このマムロンの様子…勇者の過去に何かあったのか?」

『…ついにあいっちにもすべてを語るときがきたようね…』


トゥーナから話を聞いた。

なんでも俺が勇者と出会う前は、勇者とこの魔法使いマムロンと旅に出ていたときがあった。

その途中、魔王が名乗りこの世界の平和をおびやかしたため、国から指令を受け

魔王を討伐しにいったらしいが…。


『なんか色々あってはぐれて呪いをかけられたっぽい?』

「…全部説明しろよ」

『だあってー!」

キリッとした顔つきでトゥーナは言った。

『めんどうくさい!』

「めんどうくさい!じゃないが」

『野暮ったいのよ、見てればそのうちわかるわ』


トゥーナはやれやれといったしぐさをする。


そうすると勇者の意識が回復したようだ。


「まずいぞ、また乳首連呼されたら勇者の信用を失う」


俺は能力を使用した。

  ひとまず今は喋るな。話すんじゃないぞ。


勇者とマムロンの目が合う。


「なによ、わっちが泣いて悪いか」

「…」


勇者は無言だ。


「何か言いなさい…ん?勇者…あんた…呪い臭いわね」


えっ。


もしや…勇者の呪いに気が付いた?


「ちょっとまってなさい」


マムロンはそう言うと勇者から距離をとり、両手をメガネのような形にして勇者をじっと見た。


「呪いまみれね勇者…わっちにまかせなさい」


細長い杖がマムロンの手に握られ、マムロンは目をつぶる。


何も起こっていないように見えるが…。


「!!」


マムロンは急に顔がみるみる赤くなって驚いた表情になった。


「呪いを解く方法がわかったわ…」


マムロンはぼそっと言った。


「本当か!!!!!!!!!!!!!!」


勇者はとても大きい声で言った。

うるさい。

というか勇者がここまで声を張るのを初めて聞いた。


「うっ、うるさいわね!うぅ~…」


マムロンはもじもじしている。

そして紅潮したマムロンは勇者の前に立ち


「じゃあ…んっ!」


目をつむって口を尖らせた。


「これはもしや…キス顔というやつか?」

『うわぁ~お、これはこれはこれは』


トゥーナは興味津々といった具合で傍観ぼうかんしている。


「いやいやなんでこの女性の魔法使いはキス顔してるんだ?」

メスの血がうずきだしたのか?

『いや…これが呪いを解く方法なんじゃね?あいっち』

「キスで呪いがとけるぅ?」


そんなロマンチックな解呪方法を敵に乳首と言わせる魔王がするのかねぇ…。


そう思っていると勇者が動き出す。


勇者は無表情で悩ましい顔をしている。


「は、はやく!恥ずかしいんだから」


マムロンがせかすと


「わかった」


勇者が返事をした。続けてこう言った。


「歯をくいしばっておけ」


え?


勇者はこぶしでマムロンの顎を下から上へぶちぬいた。

綺麗なアッパーカットだ。


マムロンがのけぞりながら宙を舞い…地面へと墜落ついらくした。


「おいおいおいおい勇者さん!?!?」

なぜアッパーカットを!?


トゥーナはゲラゲラと笑っている。


勇者さんは不思議そうな顔をしている。


「これは呪いをとく気付きつけではなかったか?違ったのか…」


勇者は言った。

いや気付きつけならお前が殴られる側だろう。

もしかして勇者さん……恋愛がわからない人?


『これは初めて見たわ勇者っち~!おなかいたい』


勇者は恋愛に対して人一倍、鈍感であった。


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