二章 8話 協力者マムロン1
あれからいったんゲームを終えて、俺は日常へと戻った。
といっても学校へ行き勉強をして、友達なのかわからない微妙な距離感の周りの人とだべって、普通に帰ってきた。
ゲームのことについて調べていたが成果はなかった。
疲れがあったので2日ほどおいてから、
俺はプレイすることにしたのだった。
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「勇者はどこへ向かってる?」
『さぁ?わからない』
俺とトゥーナは一人で歩く勇者の後ろを追って歩いていた。
勇者は荒野を歩いていて、周りには岩があるだけで人や魔物の姿はない。
「なんでトゥーナがわからないの?」
「教えられないの。教えたらネタバレになるっしょ』
「確かに」
『代わりにヒントをあげちゃいまる』
歩きながらトゥーナの話を聞いた。
これから現れる人物の協力を得ることがヒントだと教えてくれた。
「それだけ?」
『魔王城の結界は勇者の力じゃ破れないんだよね』
「あんなに強いのに?」
『肉体派だからね勇者ちゃんは』
そうこうしていると一つの建物が見えてきた。
「あれが…勇者の目的地か」
古びた城だった。荒野の中にぽつんとたたずむ古城だ。
「すごいな」
『中は砂埃まみれで住めたもんじゃないけどねぇ、あそこに魔法使いが住んでいたらしいんだわ』
ということは、勇者は魔法使いに会いにいくのか?
しかし、このまま乳首と言ってしまう呪い、略してちく呪の状態で
魔法使いと会ってコミュニケーションができるのだろうか…。
俺の不安をよそに勇者はずんずんと城の中へ入っていった。
「校舎より2倍くらい大きいな…」
城はとても大きく小山の大きさだ。
『到着!記念撮影っしょ!』
トゥーナはまた自撮りをしていたが、かまわず俺は勇者についていく。
一番上の部屋、台所、各部屋を見て回ったが、埃まみれで家具は壊れていて足跡はない。
人が住んでいたという形跡はなさそうだ。
勇者は人に会いにきたのではないのか?
ちらりと勇者の顔をみると不満げな表情を浮かべている。
『あ~おそらくあてが外れたっぽいね』
「ここに人がいると勇者は思っていたのか」
『そうっぽぽいのぽい』
勇者は古城を出た。
その時、頭上から轟音が聞こえた。
この感じは新幹線がものすごいスピードで通過していったときに聞く音だ。
俺たち3人は頭上を見ると、人が1人ゆっくりと上から降ってきた。
くつと下半身と…あとむっちゃパンツ見えてる…。
パンツの形から予想するに女性だろう。
「たくさん待ったわよ勇者!」
女性のハッキリとした声が上から聞こえた。
「お前は…!」
勇者がハッとして言い、こう続けた。
「魔法使い乳首ン!!!」
「誰が乳首よ!!!」
勇者の頭に透明な岩が降ってきてゴンと当たる。痛そうだ。
ようやく地面に舞い降りた1人の女性。髪は銀色で肩にかかった長髪、キリッとした目、頭には大きな帽子があり、おとぎ話で出てくるような魔法使いのような姿。そして身長は勇者より少し小さいくらいだが、女性にしては高身長だ。
「わっちの名前をもう一回言ってみな!」
と言って勇者の胸倉をつかむ。
「ち、乳首ンビン…」
呪いがかかっている勇者の発言は最悪だ。
呪いがかけられていることを知らない人間からしたら、これほど悪印象な人間はいないだろう…。
というか勇者に見えないな…。
「それが久しぶりに会った女の知り合いの前で言うことかあああああ!!!」
ぶんぶんと勇者を振り回す。
『これが例の協力者、女の魔法使いマムロンちゃんよあいっち』
このやり取りの中、トゥーナはしゃがんで魔法使いマムロンのパンツをのぞき込みながら言った。