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4話 恐ろしい呪い3

「なぜ魔王はそんな呪いを?」

『ステータスオープンと言ってみなさい』


あぁ異世界系のラノベでよくあるやつね。


「ステータスオープン」


そういうと目の前に何やら文字と数字が浮かび上がる。


ステータス

勇者 男 Lv99

ちから 999 はやさ 999 がんじょう999 まりょく999 ???999 その他色々999

ステータス異常

判別不明の多数の呪い


「勇者強すぎか???」


序盤でしていいレベルじゃねーぞ!改造じゃんチートじゃん!


『ちなみに魔王のレベルは50前後』

「楽勝じゃん…ハッ!」


俺は理解した。



『気が付いたみたいね。魔王は勇者に実力行使では絶対に勝てないことを悟り、この肝心なところで乳首と言わされる呪いをかけたの!』

女神はどや顔で語る。


「そういうことだったのか…」

『この呪いをかけるために魔王はわざわざはるか遠くの最初の村のほうまできて勇者にばれないようにこっそりこっそりとやってきて呪いビーム!』


トゥーナは両手の親指と人差し指を伸ばし、四角形を手で作ったポーズをした。


『をしたわけよ』


うーむ…

「知略派魔王と言うべきかせこい魔王と言うべきか」

俺としては勇者と魔王は力と力でぶつかる熱い展開が好きなんだが…。



『あっ勇者が動いた』

「…このままいくと失敗するんじゃないのか?」

『間違いなく失敗する』

「昨日説明した能力の使い方を教えて」

『念じるだけで使えるっぴ、伝われ伝われ~と強く思うだけで勇者の思考に干渉できる』

「そうかありがとう」


そう…俺の考えたことを試す機会がきたようだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その後、勇者のあとをついていくと建物が見えてきた。

どうやら最初の村に着いたようだ。


勇者は村の入り口の門の前でとまって、服の中から紙のようなものを取り出した。


俺の念じた通りに動いてくれた。

俺の考えたこととは、紙を用いたコミュニケーションだ。


勇者は紙に書いたものを見せながら村へ入っていく。

紙の内容はこうだ。


   俺の名前は勇者。

   魔王を倒すためやってきた。

   手がかりがあれば教えてほしい。

   それと先ほど魔物を討伐した。

   まだこの辺りで魔物がいるなら退治しよう。


うむ。誤字もなく完璧だ。


「口がダメなら手をつかえばよかろうて」

『ナイスなアイディアね、しかしあいっち…大切なことを忘れているっしょ』

「…?何を?」

『ここは辺境の村ってことよさ!』


トゥーナと会話していると勇者の周りに村人が集まってきた。

その中で初老の男が話しかけてくる。


「旅の人かね?」

「…」


勇者は黙って紙を見せる。


「ほう…紙に書いてある…ふむふむ。ほう」

「…」

「わしじゃ読めん」


…読めないんかい。

『読めないっしょぉ。どの世界の誰しも習わずして字の読み書きができるとでも?』

「ぐっ、確かに…」


日本ではみんな読み書きできるから当然のことだと思っていた。

「こんなところで義務教育の大切さを味わうとは…」



「あんた読めるかね?」「いいやさっぱり」「わからんなあ」

誰も村人で字が読める人がおらず、勇者が困った顔をしている。


「そうじゃ!村長なら読めるかもしれん、ついてきなさい」


勇者は村人に黙ってついていく。


「俺たちもついていこう」

『あいあいさー』


トゥーナはまた決めポーズをして返事をする。ちょくちょく決めポーズするのがこの女神の趣味なのか?


「私が村長です」


建物の中に入ると、村長と名乗る初老の男性が椅子に座っていた。


「村長やこの紙を読み上げてくれ」

「ほほう字か、どれ」


村長は勇者から紙を手にとり読み始める。

しかし年とった人が多いな。高齢化社会か?


なんて余計なことを考えているうちに読み終わったようだ。


「なんじゃこの紙は?」


村長は素っ頓狂な声を上げて続けて言った。


「『ち』と『く』と『び』の文字しか書かれておらん。文章が成り立っておらんぞ」


「えっ」

俺は驚きの声が出た。

そんな馬鹿な、村長の持っている紙をのぞき込む。


   俺の名前は勇者。

   魔王を倒すためやってきた。

   手がかりがあれば教えてほしい。

   それと先ほど魔物を討伐した。

   まだこの辺りで魔物がいるなら退治しよう。


「そのまんまあっているじゃないか」

勇者の顔を見るも勇者も自分と同じような驚いた表情をしている。

『ステータスオープンっしょあいっち』

「…ステータスオープン」


これ言うの恥ずかしいな…と思っていると、

勇者のステータスが浮かび上がると同時に村長ら村人のステータスも浮かぶ。

全員のステータス異常のらんに「呪い発動中」と書かれていた。


「…なるほどね?わからんぞ。どういうことだってばよ?」

『あいっち…この呪いは口からの言葉だけじゃない』


俺は少し考えた。


「…話す言葉だけじゃなく書く言葉にも影響を受けるということか」

『理解が早くてあいっち優秀っっぴ』


つまり勇者は紙に間違いなく文字を正しく書いたが、呪いによって間違って伝わってしまったということだ。


「なんておそろしい呪いだ…」

『恐ろしいっしょ?』


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