一章 3話 恐ろしい呪い2
昨日は夜ごはんも食べず寝てしまった。
なぜ起こしてくれなかったのかと母親に八つ当たり気味に聞くと起こしたが何しても起きなかったらしい。
そんなこんななんのやらで登校して、普段通りの学校の一日を過ごした。
いや…100円拾ったな。どうせなら5兆円拾いたかった。
学校の休み時間中にスマホに入っているゲームについてインターネット検索してみるも何もひっかからなかった。
そもそもタイトルが
『〇△□』
となっていてこれが本当にこのゲームのタイトルか定かではない。
ひとまず昨日起こった出来事は夢ではなかったことを再認識しつつも、
学校から帰宅し昨日と同じようにことを済ませスマホの例のゲームアプリを押し、起動した。
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昨日と同じ場所、森の中にあるちょっとひらけた草原の中で立っていた。
風で草や木々が揺れているが、風を感じることはない。
さて…
「とりあえず最初の村とやらを見てみますか」
『お~っす』
「うおっ!」
素早く後ろを振り向くといつの間にか自称女神の金髪ツインテールギャルがだるそうに手をあげていた。
「いつの間にいたんだ…」
かなりびっくりしたぞ。
『このゲーム起動するときはあたしもセットなの』
「チュートリアル限定の案内係じゃなかったのか?」
『伝えてなかった?あたしとはクリアするまで一緒よ、女神つきゲームよ』
「そういえば女神…名前はなんていう?」
『今更きくの?』
「まああの時は理解が追いついてなかったから…」
『あたしの名前はトゥーナ。イン〇タ、ツイッ〇ー、tikto〇、youtub〇登録よろしく~~』
ピースサインをして女神はそう言った。
いや神様がSNSしてるんかい。
『トゥーナって呼んでくれていいぽよ。よろしくぽよ~』
女神もといトゥーナは優しく俺の頬を右左たたきながら言った。
感触はないが・・・・・・・ん????
「感触があぶ!触った感じがあぶぶぶ痛いわ!」
俺はトゥーナから一歩下がる。
だんだん頬を叩く力が強くなってた。普通に痛いわ。
『あたしとあんた、二人だけはお互いに干渉できるのよ。まあテストね』
トゥーナは俺のほうを見ている。トゥーナの手が自身の胸元にいき・・・
トゥーナの胸の谷間が見え…見え…、いかん。
胸に視線がいってしまう。背けなければ。
『へぇ~~ふぅ~~~ん』
にやにやとした表情のトゥーナ。
『まっ合格ね。視線が泳いでるあたりへたれってところねーウケる』
胸見てたのばばばばばれとる???
「う、うるさい」
我ながらなんとも情けない声が出た。
『見るやつはじっくり見るんだけどなんであんたは見なかったの?』
「失礼だろ…女性のそういうところを見るのは」
男の性だが女性をそういう目で見ていると、
いつか己の判断を狂わせるってかっこいいゲームキャラが言ってた。
あと見ないほうがモテるらしい。俺は決してモテたいわけじゃないが、見ないほうがモテるらしい。
『意外と紳士なのねあんた』
「あんたじゃなくて俺にも相証っていう名前があるからそれで呼んでほしい」
『ういっすじゃあ「あいっち」って呼ぶわ』
…まあなんでもいいや。
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ティーナの案内で村の方角へ歩くことになった。
「あれは…」
その途中、勇者を発見する。
『なんかぶつぶつ独り言いってんね。勇者』
「木の前に立って何してるんだ?」
近づいて勇者の様子をうかがう。
「俺の名前は勇者俺の名前は勇者…」
木の前でぶつぶつと自己紹介している。
「様子を察するに…ああやって自己紹介の練習をしているのか」
『呪いを解呪しようとしてるみたい』
勇者はひたすらぶつぶつと言っている。
「俺の名前は勇者俺の名前は勇者…よし、100回言えた」
100回も木にむかって自己紹介してたんかい。
その時、草むらからガサガサと音がして、ぴょこんと野ウサギが飛び出してきた。
勇者の視線が野ウサギのほうへいくと、一瞬にして移動し野ウサギを捕まえていた。
「なんだこの人外離れしたはやさは…」
勇者は野ウサギを両手で自分の顔の高さまで持ち上げる。
勇者と野ウサギは見つめあう。
「お…俺の…」
どもるように勇者が話す。
『どうやら自己紹介の練習の続きがしたいようわね』
勇者と野ウサギはじっと見つめあう。
「…」
「…」
この見つめあう時間は、短い時間だがとても長いように感じる。
「おれ…の名前……は!」
勇者が言った。
「…ゆ…乳首だ」
はいダメでした。
勇者はかがみこみ野ウサギを優しくはなした。野ウサギはすぐさま走り出しどこかにいってしまった。
勇者はこぶしをつくりドンと地面をたたく。
「おのれ魔王…!」
表情は悔しそうだ。
「しかし勇者は本当にわざと乳首と言っているわけではないんだな」
『当然っしょ。魔王にかけられた呪いよ』
「なぜ魔王はそんな呪いを…?」