21話 好機?
ゴゴゴゴと周りが鳴り響き地面が揺れる。
「…ここ崩れそうね、急いで脱出しましょう」
マムロンが言った。
「うぅ…残酷ですわ…あんまりです…」
勇者はシスターを担いで、マムロンとともには階段を駆け上がり教会へと広間へと戻る。
「教会は何ともないようね」
「…当然ですわ。わたくしが改築してあらゆる衝撃に耐えられるようにしましたもの」
「やるわね」
いったいこのシスター何者なんだ?というより…
「この世界の勇者側の人間強すぎないか?」
『だから今の魔王が狡猾なのよん。人間が強すぎるから』
腕を組んだトゥーナが言った。
マムロンは杖をコンコンと2回たたくと目の前に映像が浮かび上がる。
遠見の魔法というやつだろう。映像には半壊した魔王城がうつっている。
「やりましたわ!わたくしの成果です!」
胸を張ってシスターは言う。
が、その次の瞬間に魔王城は半壊していたのが嘘のように、元の魔王城の姿にもどっていた。
え!?
全員が驚いた。
「…どういうことだ?」
「わからないですわ…」
「魔力で再構築された…とか?いいえありえない。あの魔力の爆発を受けてすぐに回復するなんて」
『あいっち~どうなってるのこれぇ』
「わからん!」
あのずるい魔王のことか、俺が魔王になったらと考えてみよう。
罠は2重3重にはるし、攻撃だって警戒する。仮にもし攻撃を受けてしまったのなら、退路を確保し逃げることを考えるが…魔王城は回復したのだ、逃げる理由がない。しかし回復したというのは信じがたい。
狡猾な魔王がそんな魔法を使えたら、わざわざ勇者に呪いをかけないだろうし、ほかの攻撃、例えば物量作戦で攻撃をしてきてもおかしくない。
…もし魔王城は元通りになったというのが嘘であれば…?
俺が魔王ならごまかそうとする。
「そうか…そうかごまかしだトゥーナ!」
『え?何かピコピコピーンって閃いた感じぃ?』
能力を使って勇者に伝えた。
今の出来事はごまかし、つまり嘘だと周りに伝えろ。
「…わかったぞ」
勇者が言った。
「これは嘘だ、嘘の魔法、偽物の乳首だ」
「…嘘?」
ぶつぶつ言っていたマムロンが言った。
「嘘の魔法だとしたら……幻の魔法ですこと?」
シスターが言うとマムロンがはっと息をのむ。
「そうだ!幻の魔法ね!つまり、魔王城は爆発で壊れたけど、あのずるい魔王は壊れた魔王城という情報を隠したくてすぐに壊れていない魔王城を見せる幻の魔法をかけたの!」
「なるほど……辻褄が合いますわね」
「確証はなくて、実際わっちが直接行ってみてみないとわからないけど…」
「もし壊れているとしたら攻める絶好の機会だ」
おお…うまく事が進んだな。
幻の魔法なんてあるか知らなかったけどうまくいってよかった。
『ふ~~~~ん……』
トゥーナがじろじろ見てくる。
「な、なに」
『やるじゃんあいっち!』
ニャハハと笑いながらトゥーナは俺の背中をバンバン叩く。ちょっと痛い。
「そうと決まれば…乗り込む。この魔王の支配に終止符をうつ好機がきたの」
マムロンはそう言って杖をぎゅっと握りしめた。
「ところでシスター、エネルギー庫のこといいの?」
「もう諦めましたわ。どうしようもなかったですから…切り替えが大切です!」
ふんふんと息を荒げてシスターはそう言った。




