2話 恐ろしい呪い1
『最も大切なことを言ってなかった。「勇者の呪い」のことについてね』
「呪い?今のが?」
『そう・・・恐ろしい呪いよ、女神のあたしですら解呪できない呪い』
女神はごくんと固唾を飲む。
『肝心なところで「乳首」と言ってしまう呪い』
・・・しょぼくね?
「勇者が能力を封じられるとかむちゃくちゃ弱くなるとかじゃないのか・・・?」
『そういった類の呪いは自力で勇者が呪した』
「強いな勇者・・・にしてもしょぼい呪いだ」
『いいや違うね、この呪いのせいで過去のプレイヤーは詰んできた』
女神は悔しそうな顔をした。
「どこで詰むんだ?」
『この先に先ほど助けた素朴な娘が住む村があるんだけどぉ、そこでまともなコミュニケーションがとれず、情報がないまま進んだ結果、勇者が罠にはまって閉じ込められる』
「お、おおう」
『勇者は自力でなんとか罠から脱出するも、すでに魔王の侵略の手が進んでいて、ゲームオーバー』
自力で罠から脱出ってやっぱり勇者強いな・・・。
『ちなみに今までプレイしたプレイヤーの95パーセントがここでゲームオーバー』
「最序盤から難所じゃねえか」
『お願い!なんとかこのゲームクリアして!!暇なんでしょ!』
女神が手を手を合わせて言った。
暇といえば暇だが・・・
『このゲームプレイヤーの条件が「退屈を感じている」人なんです!』
「それなら俺以外にもいそうなんだが」
『まあぶっちゃけ誰でもいいんすけどね』
誰でもいいんかい。
「デメリットとかあるの?」
『いたって一般的なゲームをするだけで特にデメリットはない…あー強いていうならあたしとおしゃべりできるのがメリットって感じ?今なら女神と友達になれるチャンス!役得!』
ギャル女神はそう言ってスカートをチラっとめくった。
これが色仕掛けというやつか。
「まぁ・・・暇だしやってみるか」
決して色仕掛けにやられたわけではない。
「いつでもやめていいんだよな?」
辞め時は大切だな。うん。ゲームは1時間に10分は休憩しろっていうし。
『いつでもやめてもおけまるよ』
よし…とりあえず自称女神の了承も得たし
「とりあえずやってみるか」
『おぉー!アナタやる気MAX!』
ビシッと俺のほうに指を指す。
『じゃあさっそくクリア目指して最初の村へ』
「疲れたから今日は終わり」
そう言って俺はポケットから出したスマホを操作する。
Logoutと書かれたボタンらしきものを押した。
景色が変わり見慣れた部屋になる。
「知ってる天井だ」
自宅の部屋の天井が見える。無事に戻ってこれたみたいだ。
『あんたさよくログアウトの方法わかったわね』
ギャルの女神の声がどこからともなく聞こえる。
「勘でなんとかなったよ」
『てっきりすすめてくれるとおもったのに』
「辞め時が大切なんだよ。それに・・・作戦を立てなきゃな」
と、いうか俺のスマホから女神の声がする・・・。
『しばらくあんたのスマホん中にしるから。よろしくっぴ~』
ピースしてスマホの画面にはギャルの女神の姿が映っていた。
神様はなんでもありなのか?
『ここに触れたらゲーム再開できるから。んじゃばいぴー』
と言ってギャルの女神はスマホの画面からいなくなった。
「ふぅ・・・」
スマホを手から離して目をつぶる。
頭の中でさっき起こった一連の流れを振り返る。
うん、冷静に考えてもおかしいわ。フルダイブ式のゲームってS〇Oやん、マト〇ックスやん。
ギャルっぽい女神ってなんやねん…。
まあかわいかったからいいか。
あれこれ考えていたらいつの間にか眠ってしまっていて、目が覚めたら次の日だった。