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キミと同じ空を見ている  作者: 林 琴美
第1章 ―3人+1人―
7/20

第7話 ―せりな&美鈴 part1―

 今回は、超長いです!最後まで楽しんでいただけたら幸いです。

 たばすこさん、奏さん、感想ありがとうございました。

  1 せりな


 ここは、大きなホール。かりんとサッちゃんの出る、バレエの発表会の会場だ。

 あと一〇分ほどでブザーが鳴り、本番が始まる。私の左隣には美鈴さん、そのまた隣には空人くんがいる。大切な二人と、大好きな二人の晴れ舞台を見れる事がすごく嬉しい。パンフレットには『夏の大発表会』と書いてある。

 今日は夏休み二日目。美鈴さんは「学校生活から解放されて嬉しい。」なんて言ってるけど、私はちょっとさみしい…かな。学校、結構楽しいし。

 今日は、この三人でバスに乗ってここに来た。と言っても、市内のホールだから自転車で行けるぐらいの距離なんだけど、体の弱い美鈴さんのためにバスで来た。

 前に美鈴さんは無断で外に出たことは怒られちゃったみたいだけど、お母さんはもう許してくれた?みたいだ。良かった。

 お母さんには「かりんとサッちゃんと私とも仲のいい、二人の友達と観に行って来るね!」と言った。お母さんは一緒に行きたがってたけれど、「女の子だけなんだから、気を付けなさいよ。」と言い、許してくれた。男の子と一緒に行くなんて言わなかったし、でも、ウソついてるわけでもないもんね~!あ、でも、半ウソか。二人は別に、かりんとサッちゃんとは何の関係もないんだし。私、半ウソはよくするんだよね~。

「せりなさん。もうすぐ、ブザー鳴るよ。」

 少しざわついている場内の中で、美鈴さんがコソッと耳打ちしてきた。

 ブザーが鳴り、ざわつきも収まった。いよいよ開園だ!



  2 美鈴


 軽快な音楽が流れ始めた。オープニングが始まった。あ、この曲、私も聞いたことある。有名な曲って、案外名前を知らないものだよね。あ!

 幕が開いた。鳥肌が立った。すごい、すごい!あんな小さい子が可愛い踊りをして、もう大人か高校生、大学生位の方達が素晴らしい踊りをして、私と同じ位の水色のドレスを着た女の子…あ!さっきせりなさんが言ってた、かりん?さんと、サッちゃん?さんだ。ちなみに、サッちゃんさんの本名はさきかって言うんだって。咲花さきかさん。咲く花って、とっても素敵じゃない?かりんさんは、かりん。せりなさんのように、平仮名なんだって。

 拍手をいっぱい送っていたら、あっという間に第一部が終わった。私達三人はロビーに出るために席を立った。もちろん、貴重品ではない荷物を置いて、しっかり場所取りはしておいたよ!



  3 せりな


 このロビーも、懐かしいな。でも、私が最初にここでメイクをし、ステージに立ったのは二年生が最後かな…。かりんとサッちゃんと一緒に始めたバレエ。かりんとサッちゃんは運動神経も良く、体も柔らかかったので、すぐに上達した。

 でも、運動神経もソコソコで体も硬かった私は、二人にすぐに置いて行かれた。

 発表会でも私は主役なんて夢のまた夢だったし、二人と同じ演目に出れない事さえあった。

 そんな出来事を繰り返していくうちに、だんだんバレエの時間が憂鬱になり、バレエの事を好きじゃなくなって行った。そして、私は言った。二年生の冬の事だった。先生と親に「辞めたい」って。幸いうちの親は反対しなくて(先生はちょっと惜しんでたけど)、きっぱりスッキリ辞める事が出来た。かりんとサッちゃんは最初びっくりしていたけれど、その時はもう発表会は間近で、私が辞めることなんかどうでもいい、みたいな雰囲気で私にとって最後のレッスンは終わってしまった。

 それからずっと発表会には行かなかった。というより、行きたくなかった。だから、今日が辞めて初めてここに、バレエの発表会に来たことになる。かりんとサッちゃんに「どうしても来て!!」って言われて、チケットまで押し付けられたらもう行くしかないじゃん。だから、力強い味方を二人、誘ったんだ。

 チケットは三枚もらえて、二人はお父さんとお母さんと来て!っていう意味でくれたんだろうなぁ。ごめん。あ、私は一人お姉ちゃんがいるんだけど、中学生で部活があるから。

「せりなさん。もうすぐ始まるよ。行こう。」

「道のど真ん中でボーッとするな!危ないだろ。行こう。」

「うん。」

 こんなに温かくて優しい友達が二人もいる私は、世界一の幸せ者だよ…。



  4 美鈴


「すごかったね!感動した~。私もちょっと、やってみたくなっちゃった。」

 第二部もあっという間に終わったけど、すっごく感動した!

「あ、せりなさん!そらくん!出演者の方々が、出て来たよ!わぁ、やっぱりキレイだな。」

「美鈴さん、そんなことはいいから、もう行こ。」

「…え?」

「あっせりなちゃん!?久しぶり!」

 いつもと違うせりなさんに戸惑っていたら、バレエの先生?と、大きな人たちが、せりなさんに駆け寄って来た。かりんさんと咲花さんは、他の人と話していて、私達に気付いていない。

「あっ、じゃあ、また。」

 せりなさんはそれをかわすようにそう言い、私の手を引き出口へと走って行った。

「…あのさ。さっきので二人ともわかったと思うけど、私、ここのバレエ教室、辞めたの。サッちゃんとかりんと一緒に入ったのになー?どうしてだろう。」

 せりなさんは、いつものおちゃらけかたで、サラリと言った。

「…そっか。でも、せりなさんはせりなさんだもん。恥ずかしいことはなにもないし、気にすることはないよ。」

「そうだぞ。あのさ、俺。」

 そらくんが笑顔なのか暗いのかわからない顔で言った。

「美夢と会うことになった。」  ―つづく―


 

第8話はー、なんとー!あの、美夢ちゃんが空人くんとリレー方式で主人公になります!新キャラも登場!?

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