第4話 ―水野 美鈴 part2―
昨日は第4話を公表できなくて、すみません!
たばすこさん、感想本当にありがとうございました!私の力の源です。リクエストなども、どんどん送ってください!
1
「私、もうここに来れない!」
「…え?」
何、それ…。せりなさんが、もう、ここに来れない?私、とっさに叫んでいた。
「どういう事!?ウソはつかないで!」
言ってから、ハッとした。せりなさんも、そらくんも、びっくりしている。
「ご、ごめんなさい。せりなさんが、もうここに来れないなんて、…信じられなくて。…どうして?」
「『ごめんなさい』って言うのはこっちだよ。実は―」
せりなさんは、学校の友達との約束があり、そのせいでもうここに来れなくなるかも、と言った。
「…ひどいよ。せりなさん。私を一人にしないで!お願い、せりなさん…。」
私がそう言うと、せりなさんの目がうるんでいた。
「本当に、ごめん。…急で。わたし、美鈴さんと空人くんの事は、一生忘れない。また、いつか、会えるよ。私達なら。私、なるべく空を見るようにするから。2人も見ててね。…じゃあ。」
せりなさんはそう言い残し、走って帰って行った。最後まで笑顔だったせりなさんの顔に、涙がたくさんつたっていた事に気付いた私の目からも、涙がたくさんあふれていた。
「おい、美鈴ちゃん…。あれで良かったの?」
そらくんが、さっきまでのせりなさんのように、ためらいがちに言ってきた。
「良くない…。」
「え?」
「良くないよ!」
「…。」
「そらくん、ごめん。私、帰る!」
私もそらくんにそう言い残し、思いっきり走った。
「私って、サイテーだ…。」
走りながら思わずそうつぶやいてしまって、心がもっと辛くなって、涙が止まらない。
今日が人生で一番泣いた日だろう…、
…一番?一番泣いたのは、いじめられた時?
…違う。涙の種類が、違うの。今日は、嬉し涙をたくさん流した日。いじめられて流す涙とは、全然違うの…。
2
今日は、『空の秘密基地』に行くかすごい迷った。
せりなさんがいないからじゃない。そらくんと顔を合わせるのが嫌だからじゃない。
ただ、自分はもう、『空の秘密基地』に行く資格も道もないってこと。
実は、昨日帰るのが遅かったから、家に着いた時にはお母さんが仕事から帰って来ていた。
今までずっと『空の秘密基地』に行っている事も、学校から帰って来て外に出ていることさえも秘密にいていたのに、「毎日美鈴ちゃん、外に出て元気ねぇ~。」と隣の家のおばさんに言われて、全て白状しなければいけなかった。
…せりなさんに、口止めしていた意味が、なくなった。せりなさんとの関係も。
そらくんの事もお母さんに言ったら、「あら、そう。だからって、公立に行ってまで会いに行く必要があるの?」と私の心を見抜き、あっさりかわされてしまった。
お母さんは『空の秘密基地』について何も言って来なかった。ただの子供の遊びだと思ったらしい。
『せりなさん』の事を、学校の友達と思ったみたいで、「仲良くしている子がクラスにちゃんといるのね。」と、一人で納得していた。
それで、もう二度と学校から帰った後外に出ちゃだめ、と言われてしまい、『空の秘密基地』に行く道がなくなった。それからセキュリティが厳しくなって、一歩でも外に出たらすぐわかるようになってしまった。
でも、会いたいよ…。せりなさんとそらくんに会いたい…。話したい…。
でも、ごめん。私もせりなさんのように、もう『空の秘密基地』に行けなくなってしまったから…。 ―つづく―
第4話を読んでくださり、ありがとうございました。感想待ってます!
今、第5話の主人公を誰にしようか、迷っています。リクエストがありましたら、送ってください!