天道時時雨と友人の扇風機
時雨「暑い?暑いのならばクーラーを浴びるといいでしょう。家に着いていないなら近所のスーパー、コンビニへ行ってください。無料でクーラーがあたれます」剣治「何言っているんだい?こんな日こそプールだよ、プール」時雨「いや、高校生にもなって市民プールとかには行きづらいよ」剣治「おいおい、そんなつれないことを言わないでくれよ。感想欲しいけど感想来ない!そういう時はプールが一番だ!って作者も言ってたかもよ?」時雨「………何それ?」
8月18日、天道時時雨は友人宅へと遊びに行ったのだった。いつものように案内されて部屋に入ると、中には団扇を片手にカキ氷を食べている友人、霜崎剣治の姿があった。
「時雨君、すまないが今日はクーラーが壊れてしまったんだよ……き〜ん、てくるねぇ、やっぱり………それで、今のところはこうやって団扇とカキ氷ですませているわけだよ。時雨君もかき氷食べるだろう?シロップは何がいい?」
「まぁ、なんでもいいけど………」
指をぱちりと剣治が鳴らすと天井が開き、そこからバケツが下りてきた。
「…………何これ?」
「カキ氷さ」
バケツいっぱいのカキ氷とその隣には食塩が置かれている。
「塩をかけて食べろって言うの?」
「スイカだって塩をかけると甘くなるだろう?だから甘みが増すに違いないよ」
いや、氷に当分自体はないんじゃないかな?と時雨は考えたのだが……口にしないでおいた。
言葉も出ない時雨に対して剣治はさらに指を鳴らす。
「さすがに団扇じゃ暑いだろうからうちの倉庫の中に入っていた扇風機を使うことにしたんだ。じゃ、まずは一つ目!」
ウィィィィーンというおとともに降りてきたものはなにやら金色に緑っぽい粒子を撒き散らしながら稼動している扇風機だった。
「………あれ?これってどこかで見たことがあるような………」
「某ロボットアニメの××ドライブ内臓型の扇風機さ。僕はあれを見てあれは間違いなく扇風機のためにあるとおもったね!」
胸を張って言う剣治に時雨はため息をついた。
「こういうのはあれだよ、もしも抗議が来たときは大変だからさっさと蔵でも倉庫でもどっちでもいいからなおしたほうがいいいんじゃない?」
「ふぅ〜む、そうかな?」
「それに、このネタわかんないかもしれないよ?」
「ああ、それなら納得………ちなみに紅い粒子も出るよ?ついでに、扇風機自体が紅く発光して一定時間の間秘められた力を解放………」
「もういいよ………次の扇風機見せてくれない?」
「わかったよ………次はこれさ♪」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………といった音がしてきて今度は床がわれ、何かが出てくる。
「扇風機よりこっちのほうがすごくない?」
「秘密基地にはよくあるだろ?」
あれ?ここって秘密基地じゃないよね?という時雨のボヤキをさらりと無視して剣治は扇風機を指差した。
「見た目は普通だね?」
「ふっふっふ………実は弱、中、強の上にこの扇風機にはまだ上があるんだ………ためしにこの扇風機に向かってあ〜ってしてごらん。だけどまぁ、これはちょっとした条件がいるんだけどね」
背中を押され、見た目普通の扇風機のスイッチを時雨は押した。何かあるとおもい、弱から押してみる。
「あ〜………別になんともないよ?」
「ふふふ………あと五秒、やってごらん♪」
1、2、3、4、5………時間は過ぎていき、五秒後となった。
ズゴゴゴゴゴゴゴ………
「!?」
危険を感じ取った時雨は慌てて扇風機から直角に避ける。扇風機の口からつむじ風が発生し、そのまま堅持の部屋の壁に直撃。壁をへこませる結果をもたらした。
「………何これ?死ぬかとおもったよ」
「これぞいたずら対策機能付き扇風機さ」
いや、これってあ〜ってする人に対して恐怖の対称になるんじゃ?とおもった時雨だったが、剣治は再び指を鳴らした。
「さぁ、後は勢いだけでがんばってみようか?」
出てきたのは小さめの扇風機だった。電池式なのかコードレスである。
「……………普通だね?」
「ふっふっふ!そうおもうかい?ボタンのところを良く見てごらん」
「どれどれ………」
ボタンのところには凶、恐、狂………という三つのボタンしかなかった。
「どれもきょう………だね」
「実は押してしまうとその人自身が押したスイッチの行動をとってしまうんだ………」
ごくりとつばを飲み込み、時雨は剣治を見た。これまでの扇風機をみれば誰だって信じるに違いない。
「こ、こんな危ないもの持ってて大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!昔は御札とか貼ってなかったからあれだったけど、今は一年ごとに張り替えてるそうだからね。けど、押したらおかしくなっちゃうから気をつけたほうがいいねぇ………さ、戻そうかな?」
剣治が小さめの扇風機を手に持つと部屋の扉が開けられて剣治の親戚の亜美が姿を現した。
「あ、時雨君来てたんだ?ってこの部屋あつぅ〜……ちょうど扇風機持ってるじゃん?小さくて可愛いけどこれ、聞くの?ぽちっとな♪」
「「!?」」
剣治&時雨は驚愕したのだった。
「だぁぁぁぁぁぁっつ!!!」
亜美は剣治の部屋を手か波動を出して破壊、逃走した。
「剣治、僕はもう来年から扇風機じゃなくて団扇がいいと思うんだ」
「君の意見に賛成だよ………来年は団扇を集めておくよ」
「………いや、もう涼むなんていいよ」
遠くのほうから獣の遠吠えのようなものが聞こえてきて時雨はため息をついた。剣治は部屋に出来た巨大な穴をまじまじと眺めて首をすくめる。
「狂っちゃったね」
「ああ、狂っちゃったねぇ」
「あれってなおるの?」
「ま、一応は………力が全部なくなれば自動的に戻るんだってさ」
剣治はそういうと今度こそ扇風機をどこかにしまったのだった。
―――――――
次の日の朝刊に『破壊工作者か!?何者かが民家を壊す!?』という記事が載っていたのだが時雨がそれを読むことはなかった。
さてさて、皆様は扇風機を使ったことがあるでしょうか?雨月はその昔、扇風機の中に指を突っ込んで驚いて泣き叫んだ記憶が………あれ?曖昧だ………っとまぁ、こんな風に扇風機に対して色々と事故を起こしてしまったりすることが多いようですが今の扇風機はゆびが入らないようなつくりになっているものもありますね。時代の進化といった奴でしょうか?