不器用なコーラと仲直り。
「んっ!」
教室の机に突っ伏していた俺の目の前に、突然仏頂面を引っさげて、柚葉がコーラを差し出して来た。
「なに」
俺も負けじと仏頂面を突き返してそう聞く。
「何って、コーラよ。見てわかんないの? バカ」
「あ? なんでコーラを差し出してんだよバカって意味だったんだが、そこまで言わねーとわかんねーのか? バカ」
「あーうるさいわね! いるの、いらないの、どっちよ、バカ!」
「あ? いらねーよ。んなもん」
「はぁー? 私があげるって言ってんだから、受けとんなさいよ、バカ!」
「んだよ、めんどくせーな。じゃあもらってやるよ。クソ女」
「さっさと飲みなさいよ! バカ男!」
「うるせーな」
ムカムカしながら、俺はコーラのプルタブを開ける。その途端
「うわっ!」
「きゃあ!」
コーラが勢いよく噴き出した。
「おまえー! わざとだろ! わざとコーラ振って持ってきただろ。いくらケンカしたからって、仕返しか!?」
「ちがう! もういい!!」
怒鳴る俺に、柚葉はハンカチを投げつけ立ち去った。
それと一緒に転がり落ちた、くしゃくしゃのふせん。
何気なく開いてみると、そこには “さっきはごめん” の文字。
もしかして……コーラに貼り付けて渡すつもりだったのか?
その瞬間、俺は噴き出したコーラの意味を悟った。
「めんどくせーな……」
俺はボヤきながら、机にふて寝してる柚葉のとこへ行く。
「おい。おまえ、さっき走ってコーラ持って来ただろ。バカじゃねえ? 炭酸飲料に振動与えんなよ」
「うるさい」
「……さっきはごめんな?」
「……うるさい」
「はいはい。コーラ、さんきゅーな」
そう立ち去る俺の後ろから
“ 私も……ごめん”
微かに柚葉の声。
気が抜けたコーラは……
――――いつもより甘い味がした。




