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。  作者: 中田 勘
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瞬間のためだけに。

「私はこの瞬間のためだけに生きてきんだ」




普通の街だった、普通の街だった。

普通の人からしてみれば普通の街だった。

中国地方に位置する県に来た。


私にはこの街がうるさくて仕方がない、それは単に私が静かなのが好きなためだ。

私は転校生としてこの街の中学生の一部となった。

学校は騒がしい、生徒は男女問わずキャーキャー騒ぐものなので耳に響いて仕方がない。

私は本を読むのが好きだ小学の6年生位からじゃないだろうか、本が好きになったのは。

雑食系だから古人作家のものからライトノベルと呼ばれるものまで読む、強いて言うならミステリーは多少苦手ではあるのだか。

元の学校では友達はいた、それは小学校からの、と言うものであって中学で出会ってから真に仲良くなったものは一人もいない、それはいつも私が本を読んでいるから話をするようなことがなかなかないからだろう。

そのことについては気にはしてない、本を読むにはうってつけだからだ、今となっては過去のことであってどうでもいいのだけども。



9月2日

夏休み残り3日

「出ヨ」

今日も読書に没頭、するはずだったが読む本が尽きた。図書館も冷房求め通いつめていたし残りの休みは変化を付けようと思った。

柄にもなく街に行くのだ、ぱっと頭に浮かぶのはゲームセンター。

自転車じゃなく徒歩でゲームセンターに足を運ぶ。

が、うるさい、ゲームセンターに入ったとたん様々なゲームのBGMが耳に響く。

「当たり前か」

私は呟いてゲームセンターを去った。明日からは自分を軽く追い詰めよう。

「帰ロ」



9月3日

夏休み残り2日

「迷オ」

今日は山に行った。

そこで山で遭難した、意図的である。適当に、適当に道を進んだ。

地図も、方位磁針も、携帯電話も持たず。しかし、死ぬ気なんて毛頭ない、あくまで遊びでしかないのだから、自身を追い詰めるのが目的だから。

そこら辺の草を口にしてみたりして。

退屈だったので後悔してみたりしていると暇がつぶれて夕方、やる事もない。当たり前だ山の中だから

「見つけたよ、面白い・・・」

斜面で寝ることになったので起きたら昇天してましたなんてことになるんじゃないかと若干恐怖を覚えたが、木をうまく使って寝た

「眠ロ」



9月4日

夏休み残り1日

「出ヨ」

その日は迷って。

迷って、迷って、迷って、迷って。

農家の近くへ出た、山と農家を隔てる柵があって上に隙間があってそこをくぐった。

柵には針金が巻いてあって電流が通っていたので多少苦労した。

そのまま家に帰った。本でも読んでよう、いや風呂や食事が優先されるか。

「変化を望んだんだよ」

苛立ち混じりに呟いた、とりあえず身の回りの事故処理をこなして後は2時間勉強をした、私は学生なのだ。後は適当に時間を送った。

「過ソ」



9月5日

夏休み最終日

「行コ」

私は旅立った、先日一夜を過ごした山へ。非常食すらも、何も持たず。

「見つけたよ、面白い」

退屈な人生でした、面白いと言えば本ぐらいでしょうか・・・。

そんな人生変えましょう。

「入ロ」



____見つけた、 面白い、トコロ


私は穴に飛び込んだ、空襲から逃れるために掘られた・・・なんて名前だったっけ?


名前:三桜リョウ

身分:中学生

自己紹介:家族は居まいせん


よろしくお願いします



一日目


私はある街の入り口にいつの間にか立っていた、時間は21時ってところか。

街に入り口があるとは何事かと思ったが、どうでもいい事の部類に入ると思うので考えるのをやめた。

街に入ってみる。

こちらからは入る前から見えていた街人が私を見たそして、微笑してこちらに寄ってきた。

「こんにちは、どこからおいでですか?」

子供の私に対して敬語である。

「中国地方からです」

「・・・そうですか、いらっしゃいませ」

「ここに住みたいのですが」

男は再度微笑して。

「長はこちらです」

歩き始める街人、ついていく私。長?長ってなんだ?村の長と同じか?

しばらく無言が続いて数分経ったところで男は口を開いた。

「どうしてここへ?」

街人が聞いてきた

「私は変化を求めてました、だから来ました」

「変化を求めて・・・それでは貴方は変わりすぎました」

「・・・?」

「いずれ分かりますよ。さあ、着きましたよ」

そこは他の家より多少大きめな家だった。

「入ります」

街人は家に向かって(正確には家の中の人に向かってだろう)言った。

入るとそこにはやはり長がいた。

黄色を貴重とした服、ズボンんの長さは膝の下あたりまであるの年齢は50代前半あたりであろうか、もっと若いかもしれない。

「長、この子はここに住みたとのことです」

「分かった、お前は家に帰ってもいいぞ、俺が話し合う」

一人称は『俺』だった、声はしっかりとしたものだった。

「よう、俺は長の村神だ、分かりやすいだろ村で一番えらいから村神。長になったものは必ず子の姓になるんだよ。街じゃねえかというツッコミは受付ねえ」

「私は三桜です、ここに住みたくて来ました」

「なぜだ?なぜここに住みたくなった?」

「変化を求めて、さっきの男の人には『変りすぎた』といわれましたが・・・」

「・・・まあ、そうかもしれないな、でもいいんじゃないのか、変りすぎたかどうか、そこらへんお前が決めることだろ」

「そうですね、私には家族は居ませんでしたし、ここに来たことで誰に迷惑をかけたわけじゃいですから」

「話を進めようか、お前がここに住みってんならそれについてはまったくかまあわねえ。俺が空き家に案内してやるよ、今すぐ行って見るか?」

「お願いします」



しばらく歩いて一軒の空き家に着いて中を見てみると、周りの家と変わりないものだった、家具もそろっている。

「お前の事は今日中に近所の奴らに伝えておくから明日は軽く挨拶して回っとけよ。今日はもう休んどけ」

「ありがとうございます、これからお世話になります」

「・・・ああ、しばらくの間よろしく」

じゃあな、と村神さんは言って出て行った、きっと家に戻るのだろう。

その夜は村神さんの言われたとおり素直に眠った。




家に来て暫くがたち、私は近所に挨拶に回った。

そこでは様々な人にあった。

ほとんど一人暮らししか居ないようだったが、会社員のヤグラさん家族、主婦のメイジさんとその子供のチヨコちゃん、推定高校生のマチくん、推定中学生のリュウくん兄弟。彼らが僕の近所での数少ない二人以上で暮らしている人達だった


何をして過ごそうと考えていると、さっき寄ったばかりの家から兄弟がやってきた。

産まれた順番ではマチくん、リュウくんだけど入れ替えてリュウマチ兄弟とした。

「おい、ゲームセンターでもいかねえか?どうせ暇だろ、街案内も兼ねて、な。少ない時をいかに利用するか、ここで暮らすには必要スキルだぜ」とマチくん

「いいでしょう?僕たちって本とやる事ないんですから」とリュウくん

「んん、学校は?行かなくていいの?」

「おめえが言うなよ、いいんだよそんなの行きたいやつが行くのが学校だろうが」

「まあそうかもね」

と言う流れで私は出かけることになった。

ゲームセンターは相変わらずうるさい、人は見えない、店員も見えないぐらいだ。

どうでもいい事だが、ここにはUFOキャッチャーがなかった。

「夕方になったら増えるんだけどな、今は少なくていいだろ」

「何だか貸切みたいな状態じゃない。時間的には当たり前だけど・・・」

「いいじゃないですか、うるさくなくて」

「十分うるさいと思うけど」

私たちは夕方、若者や社会人が増えてくる前にゲームセンターをさった。

「ところでさ、図書館ってどこにあるの?」

「図書館?んなとこ行くのかよ。あんなとこ行っても無駄だぞ、どんな読書家でも」

「え、図書館そんなことは無いと思うけど」

「価値観は、人それぞれですもんね」

「でも、教えねえよ、時間ねえしな」

少し残念だったが。まぁいいだろう、また明日捜せばいい

そして、そこから家に帰るまでの20分間、たわいもない話が続いた。

「そんじゃあな」

「お疲れ様でした」

リュウマチ兄弟が順々に別れの挨拶を告げる。

「また明日」

私も別れを告げた

「・・・また今度な」



二日目


翌朝、起床した私は顔を洗って、特にやる事もなかったのでリュウマチ兄弟のものに訪れた。

「どういうことだ?」

動揺が隠せない、当然だ、リュウマチ兄弟の家は消えていた。

まさか場所を間違えたということはないだろう、一度は訪れた家だ。

僕は走って主婦のメイジさんの家に訪れた。

「あら、どうしたの?そんなに急いで」

「すみません、近くにある、兄弟の、住んでいる、家が、消えたんです」思いっきり走ってきたので言葉が切れ切れになった

「・・・そうよね、今日だったのよね。まあ、あがって行ってよ」

「え、あっ、はい」

「あなたは何も分からないの?家が消えた事について」

「はい、何が何だか・・・」

「そう、じゃあ一言だけ、一言だけ助言が出来る。それ以上は何も言えないわ」

「その一言、聞かせてください」

「ええ」メイジさんは一拍置いて

「これからも不思議な事が起っても気にしないように。それだけよ」

あまりにも期待はずれだった、私は今起こっていることについて聞いているのに、『これから』の事についての助言だなんて・・・

「ごめんなさいね・・・これしか言う事が出来ないの。」

そういってメイジさんは申し訳なさそうな表情をしたので、私が何か声をかけようとしたら。

「悪くは思わんといてな、メイジも意地悪であんな事しか言わないわけじゃないんだ」

後ろから声がしたので驚いたが、そうか、ここにはメイジさんの母のチヨコさんがいるわけだから、別に不思議じゃない。

ソファアに座って毛布を羽織っていた。距離が5メートルほどあったから気づかなかった。

「まあ、意地悪をするような人じゃあないってことは分かってます。でも、やっぱりおかしいじゃないですか、家が消えるなんて」

「ワタシからもかけてあげれる言葉はメイジと同じものだよ」

「そうですか、仕方ありません、ここに長居するわけにも行かないのでそろそろ帰ります」

「そう、ごめんなさいね、役にたてなくて」

「いえ、助言してもらったんですから謝らなくても、むしろ私がお礼を言うべきですよ。ありがとうございました」

それでは、と言って僕はメイジさん宅を去った。


それから何をしようかと考えていると、嫌でもリュウマチ兄弟の事が頭に浮かぶ。

「そういえば昨日街案内とか行ってゲームセンターにしか行って無い・・・」

街を確認しておこう。

ゲームセンターの他に遊園地、デパート、映画館、図書館、一生縁のなさそうな事務所まで、本当に色々あった。

私はデパートで暇をつぶす事にした。

暇をつぶしているとチヨコさんに会った。

「数十分ぶりですね、買い物ですか?」

「いいや、買い物と言うよりかは趣味だよ。健康のために歩いてるんだけど、ただ歩くだけじゃ物足りなくてね、だからこうして街の中を歩いているんだよ。賑やかなのがすきなのさ、今回はたまたまデパートに入ったんだけどね」

私は家のことにはあえて触れずたわいもない話しをした、リュウマチ兄弟のときと同じように。



三日目


翌朝、起床した私は頭の中が不安で一杯になって駆け出していた。

不安は的中した、してしまった。

メイジさん宅、消滅。

「驚くな、驚くな、驚くな、予想通りのはずだ、こうなっていると思っていたのは誰だ」

そしてすぐに、また駆けていた。ヤグラさんを頼ろうと。

ヤグラさんは家にいた。その妻ライさん、子供のイカヤくんもいた。

事情を話した、昨日と同じように。

貰った言葉も、昨日と同じようだった。

「明日になったらやって来るよ解決編がね、私も近くに居るよ」

それじゃあね、とヤグラさんはいった。


明日って何だろう、明日何かあるのか?そもそも、無いのにあんなこと言うわけないだろ・・・。

とりあえず明日だ、明日。

残りの時間はとてもゆっくりに感じたのでそれを紛らわそうと、映画館に何度か入った、遊園地にも行った、図書館にも行った。

そして夜、眠れるわけが無かった。

家でTVを見て12時を過ぎるのを待っていた。

そして、あと少し、10秒、9秒、8秒、7秒、6秒、5、4、3、2、1

そして今日が始まった・・・・・。終わった?





そこには居た、村神と呼ばれる長が。

「よお、どうだったよ?不思議世界は」

「分かってたんですか。なら教えて欲しかった、何が起こってたんですか?」

「そうだよなあ、いきなりばらしちまうのはどうだろうか・・・。面白くねえよな」

「速く教えて欲しいです」

私の言葉を無視して村神は。

「ヒント1・お前、ここに来てから本来必要な行動を一切とらなくて良かったんじゃないのか、なぜだろう」

「ヒント2・ここらの住人って一人暮らし多いかっただろ、なぜだろう」

「ヒント3・お前の周りでうと、ある兄弟と親子が消えたろ、なぜだろう」

ヒントを3つ言い終えた後一拍も置かずに。

「正解はなあ」と村神がいい

「私は死んでいる」と私が繋いだ

「大正解だよ、すげえな。もし俺がこの問題出されたら答えらんねえよ」

「ヒント1から、私食事を一切してないことにたどり着く、それで十分でしょう。3日飲まず食わずで元気にしているだなんて、普通じゃない。更に言うとこの街に入ってきて会った街人に『あなたは変わりすぎた』とわれましたし」

「ヒント2から、死んでいる事が分かればここは死後の世界だ、あいつらは死んだ、だからここに行き着いた。たまに家族が居たのは心中でもしたんでしょう、兄弟だけだったのは捨てられた、とかですかね」

「ヒント3から、それは期限切れだ。ここに住める時間は3日間なんでしょう。ある兄弟の兄が『少ない時をいかに利用するか、ここで暮らすには必要スキルだ』と言ってましたし」

「ある主婦に知り合いの兄弟が消えたことを疑問に思った僕に対して『あなたは何も分からないのか、家が消えた事について』と言われました、あたかも消えるとこが当たり前のように」

「もういいよ、お前の不思議体験聞いてたらキリがねえ。ちなみに何に対しても完全無料だったのも死人から金を取るほど俺も貪欲じゃねってだけだよ」

「エンマ大王って欲がありそうですけど」

「エンマじゃねえ、立場的には似てるけど、でもエンマってのは存在しないぜ。あの街で3日間過ごしたのち、天国か地獄か決められるって訳だよ

。いわばあの街は待合席みたいなもんだよ」

「私が死んだ事に自覚がもてなかったのはなぜですか?」

「お前さ、他人から見たらあれって自殺にしか見えねえけどお前からしたらよ、別世界に通じるトンネルに飛び込んだ気分だったんだろ。だからだよ、死ぬ気はなかった、そして死ぬということを感じ取る事ができなかった、だからこの世界が一切理解できない。ちなみに無利心中でも即死じゃなかったらこの世界のことは理解できるんだぜ」

これがヤグラさんの言っていた『解決編』か。

私の頭の中ですべてがかみ合った。

「私はこの瞬間のためだけに生きてきたのかもしれない」

「違うな」

「そうでしたね、"死んできたのかもしれない"」

「十全だ」

しばしの沈黙。

「で、私はこれからどうなるんですか」

「一応、事故死だから天国行くだよ、ただし低レベルだけどな」

「レベルなんてあるんですか、死後の世界って随分と複雑なんですね」

「そういうなよ、これを決めたのは昔の長なんだからよ。もう行けよあっちに行くと天国だ」

と村神が指差す先にはゲートがあった、空港なんかで金属チェックするために通るような、小さいものだ。

「冥土の土産に、っていうのもなんか変だが、そこは気にするとこじゃない、どうやったら長になったか教えてやろう、『いい事』をすればいい、ちなみに俺は地獄出身だ。」

じゃあな、と一言言って、村神はそこを去った。

「予告どおり近くに居ましたよ。私は家族を無理心中させて身なので地獄行くですので、もう会うことは無いでしょう。別に先に行っても良かったのですが、約束は守る主義なので。それではお先に失礼」

そういってヤグラさんはゲートへ向かっていった。

「私は間違ってない」

「私はこの瞬間のためだけに生きてきたんだ」

この、死後の不思議が完結する瞬間を味わうためだけに、生を受けたんだ。

産まれた時から死んだ後のためだけに、皮肉だね。

思考が一通り終了したところで私もゲートに向かって歩き出した。


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