精霊様の祝福。虐げられたコボルトの村にて
読んでいただきありがとうございます!
ブラッド・ウルフを撃破し、英雄として迎えられた主人公。
ですが、村人の種族「コボルト」たちから語られたのは、さらに強大な敵【魔銀狼】の存在でした。
最弱だった泡が、虐げられた者たちの守護者としてさらなる戦いへ。
霧が完全に晴れた村に、安堵の溜息が広がっていた。
「あぁ……精霊様……本当に助かりました……!」
「ブラッド・ウルフを、あんな一瞬で……」
俺を見上げて震えているのは、ボロ布を纏った小さな犬人間たち――【コボルト族】だった。
彼らは魔物の中でも最弱の部類だ。人間からも他の魔物からも追われる彼らが、この辺境の池の近くにひっそりと村を作っていた。
俺は今、ナマズの鱗と狼の脚を模した「水狼」の姿だ。
エルナが誇らしげに俺の横に立ち、村人たちに説明を続けている。彼女の魔素は、先ほどまでの絶望が嘘のように、温かな光を放っていた。
そんな中、耳の垂れた老コボルトが杖を突きながら前に進み出た。この村の村長だ。
「精霊様……感謝の言葉もございません。しかし……」
村長は、倒れ伏した狼の死骸を見つめ、苦渋に満ちた表情を浮かべた。
「この『ブラッド・ウルフ』は、この地を支配する強大な魔狼の一族――【魔銀狼一族】の、ほんの一部に過ぎないのです」
村長の話によれば、今回襲ってきたのは、群れからあぶれた「はぐれ」に過ぎないという。
彼らコボルトはこの一族に「エサ」か「奴隷」として扱われており、逆らえば村ごと消される運命にあるのだ。
(偵察でこれかよ。同じイヌ科の魔物なのに、格差がひどすぎるだろ……)
俺は、森の深淵から漂う、さらに鋭く、冷たい「銀色」の魔素を感じ取った。
確かに、森の奥からは、さらに巨大な殺気がこちらを伺っている。
俺の「泡生」は、まだ安住の地を見つけたわけではないらしい。
村の再建と、残された本隊との決戦。
俺は、震える村人たちの前で、低く、力強く一吠えしてみせた。
読んでいただきありがとうございました!
勝利の余韻も束の間、強大な狼一族の影がちらつきます。
次回、第10話。
荒らされた村の整地。そして、五感のない主人公にエルナが授ける「共鳴」の力とは。
面白いと思ったら、ぜひブックマークや評価【☆☆☆☆☆】で応援をお願いします!




