スキルの進化。コモンからエクストラへ
読んでいただきありがとうございます!
ついに池の主を完食。
主が溜め込んでいた膨大な「魔素」を吸収し、ついに上位階級「エクストラスキル」へと進化します。
泡から始まった物語が、ついに外の世界へ……!
ずるり、と。
俺の透明な体内に、あの巨大なナマズの巨体が沈み込んでいく。
普通ならありえない光景だ。
自分より何十倍もデカい獲物を、一滴の水滴が飲み込んでいくのだから。
だが、今の俺にはそれができた。
『コモンスキル【微捕食者】――フル稼働します』
核を中心に、激しい渦が巻く。
ナマズの血肉が、硬い鱗が、そして蓄えられていた膨大な魔素が、ドロドロに分解されて俺のエネルギーへと書き換えられていく。
熱い。
内側から作り変えられるような、得体の知れない全能感が全身を駆け巡る。
『条件達成。個体ランクの上昇、およびスキルの再構築を開始します』
脳内に響く無機質なシステム音。
今まで、ただ「吸う」だけだった低ランクのスキルが、主の情報を糧に、より高次元の存在へと昇華していく。
『成功しました。コモンスキル【微捕食者】は、エクストラスキル【変幻捕食】へとランクアップしました』
「エクストラ……コモンの上の階級か。ついに俺も、ただの雑魚キャラじゃなくなったってことか」
意識を向けると、新しいスキルの詳細が流れ込んできた。
ただ食べるだけじゃない。
対象の「形状情報」を完全にストックし、それを自分の体の一部として「自由自在に再現」する力。
「試しに……これ、いけるか?」
俺はイメージした。
さっきのナマズの、あの岩のように硬い鱗。
瞬間。
透明だった俺の「雫」のような体の一部が、どす黒く、鈍い光沢を放つ質感へと変貌した。
「おぉ……! すげぇ、本当に硬い。これなら水の剣と組み合わせて、攻防一体の戦いができるぞ」
さらに、俺はナマズの「長い髭」も再現してみる。
水中でムチのようにしなる髭。これを使えば、敵を絡めとることもできそうだ。
ステータス画面を確認すると、さらに気になる一文が目に入った。
【究極能力:???(ロック中)】
「……究極能力。ユニークスキルすら超える、世界の法則そのものを支配する権能、か」
今はまだ、文字すら霞んで見えない。
だが、固有スキル(ユニークスキル)【運命輪】を回し続け、この世界の強者を喰らい尽くしていけば、いつかその「神の領域」に手が届く日が来るのかもしれない。
「さて……池の掃除は終わった。そろそろ『外』を拝ませてもらおうか」
俺は水流操作を全開にした。
ナマズの鱗で補強した体で、力強く水を蹴る。
加速。加速。加速。
水面を覆っていた光の膜を、勢いよく突き破った。
バシャッ!!
水しぶきと共に、俺の視界に「色」が溢れ出した。
「……まぶしっ! 目、ないけどまぶしい!」
そこには、天を突くほど巨大な樹木が茂る深緑の森と、どこまでも澄み渡る青い空。
そして、肌を撫でる「風」の感覚。
池の中の冷たい静寂とは比べものにならない、生命のエネルギーに満ちた世界。
俺がその圧倒的な光景に見惚れていた、その時だ。
「……あ、あれ、何?」
すぐ近く、水辺の岩場に一人の少女がいた。
透き通るような銀色の髪。
ボロボロになったローブを纏い、手には古びた杖を握りしめている。
彼女は何かの儀式でもしていたのか、魔法陣のようなものが描かれた地面にへたり込み、俺を呆然と見つめていた。
空中に漂う、不思議に光り輝く巨大な「水滴」。
精霊のようでもあり、魔物のようでもある俺の姿に、少女は震える唇を開いた。
「え、あ……もしかして……伝説の、水の精霊様……ですか?」
どうやら、俺は彼女にとって「救いの神」か何かに見えているらしい。
「……いや、俺、元はただの『泡』なんだけどな」
もちろん、声は出ない。
俺は空中に漂いながら、この銀髪の少女とどう向き合うべきか、思考を巡らせた。
読んでいただきありがとうございました!
ついに「池の覇者」となり、外の世界へと飛び出した主人公。
コモンからエクストラへの進化、そして魔素を取り込み目指す究極能力の伏線……。
最後に現れた少女の「精霊様」という勘違いは、果たして吉と出るか蛇と出るか。
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