閑話。メグルの日記――鉄火場の夢
読んでいただきありがとうございます。
広場に集まったエルナやシュヴァルツたちの前に姿を現す、わずか数分前。
核の奥底で、主が「これからの計画」を独りごちていた記録です。
まだ、この場所の「新しい名前」すら誰も知らない、嵐の前の静けさの中での独白。
核の調整が、ようやく終わった。
力が溢れすぎているせいか、前世の「血」が騒いでやがる。
ふと、思い出した。
白河という名で、ただの消耗品として生きていたあの頃、俺の唯一の救い(活路)は、駅前のパチンコ屋と週末の競馬場だった。
銀色の玉が釘に弾かれ、運命の穴へと吸い込まれるあの瞬間のカタルシス。
あるいは、最終コーナーを抜けて、俺が全財産を賭けた馬が、文字通り「活路」をこじ開けて突き抜けてくるあの熱狂。
(……この村、ギャンブルが足りねぇな。……刺激がねぇと、運も巡らねぇ)
俺の【銀弾】は、魔素を固めた精密な粒だ。
これを使って、当たれば魔力を還元し、外れれば村の維持費として徴収する装置……。
……名付けて【魔導パチンコ】。
さらに、フェンリスたちの群れに「競争」させれば、【魔狼競馬】もいけるはずだ。
俺が釘(運命)を調整し、俺がパドックを支配すれば、負けることはない。
人生を切り拓くには、いつだって博打が必要なんだよ。
(……よし。名前は決めた。これからみんなの前に出て、ぶち上げてやる)
絶望的な森で、俺たちが生き残るための、たった一筋の道。
俺が全額ぶち込んだ、人生という名の勝負にふさわしい名前だ。
(待たせたな。……『カ』から始まる、最高の勝負を教えてやるとするか)
俺は銀の魔紋を明滅させ、静かに、だが圧倒的な威圧感を伴って、広場への浮遊を開始した。
ありがとうございました。
まだ誰も知らない「カツロ」という名前を胸に、パチンコや競馬の導入を企む自由すぎる主。
この日記の直後、彼は広場へと再臨し、伝説の「カツロ王国」を建国します。
続きは、最新エピソードの「第21話:新章、カツロ王国。蒼銀の要塞の産声」にて。
ついに、運命の歯車が回りだします!




