蒼銀の三傑。変異種の初陣
読んでいただきありがとうございます。
ついに「メグル=ミュータント」としての歩みが始まります。
名を得たことで進化した三傑たちの圧倒的な初無双。
そして、森の奥で静かに怒りを燃やす「真の強者」の影……。
第1期完結に向けて加速する物語をお楽しみください!
魂に刻んだ名が、核の奥底で熱を持っている。
俺の名は、メグル。
前世で俺を縛っていた「白河」という記号を焼き切り、自ら定義した真実の響きだ。
『承認。個体名:メグル。現階層を定義――【メグル=ミュータント(変異種)】として登録します』
(……ふん。スペシャリストどころか、アノマリー(異常個体)への道もまだ遠いか。だが、今の俺はこの「変異」を武器に、全てを巡らせてやる)
俺はぷかぷかと浮く「泡」の姿のまま、周囲に跪く三体の戦士たちを見据えた。
彼らもまた、俺が分け与えた真名によって、種族の限界を超え始めた【ミュータント(変異種)】だ。いずれ世界の理さえも無視する「アノマリー」へと至る可能性を秘めた、俺の自慢の配下たち。
「主様。森の境界線にて、魔銀狼の死臭を嗅ぎつけた『魔腐犬』の群れを確認しました。……不浄なる牙、我らが粉砕して参ります」
白銀の金剛鱗を鈍く光らせ、シュヴァルツが重厚な声で告げた。
彼の背後には、陽炎のように気配を揺らすアザミと、低く地響きのような唸り声を上げる魔狼の長、フェンリスが控えている。
(……行け。お前たちの新しい『力』、俺に見せてみろ)
俺が許可を出すと同時に、三体は爆音と共に森へと消えた。
村の入り口付近。
そこには、ドロドロに腐った肉を滴らせる、五十匹を超える魔腐犬の群れが押し寄せていた。
本来なら一国を滅ぼしかねない腐敗の軍勢。だが、今の彼らにとっては、自分たちの変化を確かめるための絶好の「獲物」でしかなかった。
「……まずは、私から。主様の眠りを妨げる雑音を消します」
アザミの姿が、一瞬でかき消えた。
ユニークスキル【空間瞬歩】。
まだ完全な転移には程遠いが、それでも一歩で数十メートルを「省略」して敵の喉元へと現れる。
シュッ、と空気を切り裂く音が一度。次の瞬間には、三匹の魔犬の首が虚空を舞っていた。
「グガァッ!?」
混乱し、仲間を喰い始めた群れのド真ん中に、シュヴァルツが隕石のように着弾した。
殺到する魔犬たちが一斉に彼の腕や脚に噛みつくが、その牙はユニークスキル【金剛鱗】の圧倒的な硬度に阻まれ、火花を散らして砕け散る。
「主様を守る盾は、貴様らごときが触れて良いものではない」
シュヴァルツが石の槍を豪快に一閃させる。
凝縮された水の魔力が真空の刃となり、噛みついたままの魔犬たちをまとめて両断した。
逃げ惑う残党を追い詰めたのは、フェンリスだ。彼は一際巨大な個体の首根っこを食い破ると、ユニークスキル【魔素捕食】を起動。
傷口から溢れる黒い魔力を、まるで水でも飲むかのように強引に啜り上げた。
圧倒的。
名を得る前とは、もはや存在の重みが違う。
俺はエルナの隣で、魂を通じて伝わってくる三傑の昂ぶりを感じていた。
だが、俺の魔力探知は捉えていた。
この魔犬どもを捨て駒として放り込み、森の奥で静かに「銀の玉座」に座る、本物の強者の苛立ちを。
(……来るか。銀狼一族の『直属』が。……おい、お前ら。次は遊びじゃ済まねえぞ)
俺は一粒の泡として、次なる激突に向けて核の回転速度を極限まで引き上げた。
ありがとうございました!
三者三様のユニークスキル、いかがでしたでしょうか。
名を得て「ミュータント」へと至った彼らは、いつか「アノマリー(異常個体)」と呼ばれる領域を目指して突き進みます。
ここで、本作における強さの定義を改めて整理します。
・コモン(凡庸種)
・ミュータント(変異種) ← 現在:メグル=ミュータント
・アノマリー(異常個体)
・スペシャリスト(特化権能者)
・ハイマスター(至高の完成体)
・レジェンダリー(伝説の覇者)
次回、第19話。
銀狼王の直属部隊、本物の「スペシャリスト」が村の目前まで迫ります。
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