番外編(2):泡の記憶、真実の名
読んでいただきありがとうございます!
ついに、主人公が魂に刻んだ「真実の名前」が明かされます。
前世で「白河」という苗字に縛られた男が、自らの手で「個」を取り戻し、今世で「メグル」として覚醒する。
まだまだ弱く、これからの成長に期待がかかる変異種としての第一歩をお楽しみください!
意識の混濁の中で、俺は選んでいた。
核の奥底、前世の澱んだ記憶の層をかき分け、一番奥に沈んでいた「光」を。
かつての俺を縛っていたのは、冷たく響く「白河」という苗字だけだった。
だが、その裏側で、俺がずっと守り続けていたものがある。
親からもらい、あの灰色の職場では一度も呼ばせることのなかった、三文字以上の読みを持つ大切な名前。
(……そうだ。俺は、ただの部品じゃない)
魂の回路が、バブルレイスとしての魔力と、その古い記憶をガチリと繋ぎ合わせる。
『固有権能【真名の刻印】――個体名を確定します』
脳内に響く無機質な声に応え、俺は核のド真ん中に、黄金の文字を叩きつけた。
前世の俺が、最期まで守り抜いた「個」の証。
そして、この世界で俺が自ら定義した、魂の響き――。
(俺の名は、メグル。運命を巡らせ、全ての因果を俺の元へと集める者だ)
その瞬間、俺の「泡」の体は、かつてないほどの青い輝きに包まれた。
「主様……。今、あなたの魂が……真実の輝きを得たのですね」
エルナの声が聞こえる。
俺はもう、二文字の記号(苗字)で呼び捨てにされるだけの存在じゃない。
この世界で、自らの名を定義し、全ての運命を飲み込む「主」となるための一歩を踏み出したのだ。
『個体名:メグル。――【ミュータント(変異種)】への安定を確認』
アノマリー(異常個体)と呼ばれるには、まだ力が足りない。
だが、この名が魂に馴染むにつれ、俺の魔力はさらなる深みへと進化していく確信があった。
(……さあ。行こうか。俺たちの、本当の物語を始めるために)
俺は一粒の泡として、だが「メグル」としての確かな意志を持って、夜の森を見据えた。
読んでいただきありがとうございました!
主人公の今世の真名は、運命が巡ることを意味する【メグル】でした。
現時点ではまだ【ミュータント(変異種)】。
ここからいかにして世界のバグである「アノマリー」へと成り上がっていくのか。
明日の朝7時からは「ちびちび作戦」本編、第18話。
名を得た「スペシャリスト(特化権能者)」の卵たち、三傑の初任務です。
これからも応援よろしくお願いいたします!




