第5スピン。運命の暗転と、蒼銀の捕食者
読んでいただきありがとうございます!
魔銀狼の本隊を前に回した第5スピン。
ですが、出た目はまさかの「洗剤」。
絶体絶命のピンチを、進化したエルナが救います。
そして、転んでもただでは起きない主人公。ハズレの泡を纏ったまま、禁断の「高速捕食」が始まります!
森の奥から、銀色の閃光が次々と飛び出してきた。
『ブラッド・ウルフ』の上位種――【魔銀狼】の本隊だ。
その毛皮は鈍い銀色に輝き、大気中の魔素を吸い込んで硬質化している。並の魔法では傷一つ付かない「生きた鎧」の群れ。
「ひっ……マギルだ! 本物のマギルが来たぞ!」
コボルトたちが絶叫し、腰を抜かす。
だが、今の俺には「視えて」いる。
エルナとの共鳴で手に入れた【魔力共鳴膜】が、銀の毛皮のわずかな隙間を赤く強調して脳裏に映し出していた。
「精霊様……私の魔力、すべてお使いください!」
真名を刻まれ、【ホブコボルト・アズール】へと覚醒したエルナが杖を掲げる。彼女から溢れ出す膨大な魔力が俺の核へと流れ込み、爆発的なエネルギーが膨れ上がった。
(……この力なら、一撃でこいつら全員を消し飛ばせる!)
俺は、黄金の円盤を意識した。
固有スキル【運命輪】、第5スピン。
回れ! 勝利を、決定的な一撃を俺に寄越せ!
カチ、カチ……スッ。
『固有権能:不発。――選択:【ただの洗剤】』
「……は?」
次の瞬間、俺が放とうとした破壊の奔流は、甘い花の香りが漂う「大量の泡」へと姿を変えた。殺傷能力ゼロ。狼たちの鼻先をフワフワとくすぐるだけの、ただの石鹸の泡だ。
(嘘だろ……。ここで、これかよッ!!)
魔力を浪費した俺は、ただの泡の塊へと成り下がった。銀狼の鋭い爪が、無防備な俺の核を切り裂こうと迫る。
「主様には、指一本触れさせません!」
鋭い咆哮と共に、蒼銀の閃光が俺の前に割り込んだ。
進化したエルナが、俺が放出した「洗剤の泡」を逆手に取り、ヌルヌルとした滑りを利用した超高速の移動で狼たちの懐へ潜り込む。
「はあああああッ!」
一閃。エルナが振るう水の刃が、リーダー格の銀狼の喉元を深々と切り裂いた。
(……助かった。だが、タダじゃ起きねぇぞ!)
俺はエルナが仕留め、地面に転がった銀狼の死骸へと、泡の体のまま飛びついた。
『エクストラスキル【変幻捕食】を発動!』
ずるり、と。
俺の泡が、銀の毛皮を包み込み、強引に核へと引きずり込む。
洗剤の成分が混ざったせいか、分解速度が異常に速い。魔導銀を含んだ強靭な魔素が、怒涛の勢いで俺の中に流れ込んできた。
『成功。魔銀狼の情報を統合。――【銀装・水狼形態】への変異を開始します』
俺の体が、銀色に輝き始めた。
読んでいただきありがとうございました!
第5スピンはまさかの「洗剤」でしたが、結果オーライ(?)で捕食まで成功しました。
進化したエルナ(ホブコボルト・アズール)の頼もしさが光ります。
次回、第12話。
ついに主人公の体が「銀装」へと変貌!
本物の「銀狼」をも凌駕する、新しい姿のスペックとは!?
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