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ダンジョンを砂で満たしたら怒られた

第2話を読んでくださった方、ありがとうございます!


今回、聡美はついにダンジョンに挑戦します。


でも狭い通路で最大量の砂を出したら……

自分も埋まりそうになったキュ!


そして聡美がひらめいた「禁断の攻略法」とは――


それでは、お楽しみください!

■第七章:ダンジョンの罠


数日後、聡美は初めてのダンジョンに挑んだ。


冒険者ギルドの掲示板で見つけた「報酬銀貨100枚!」の文字に惹かれたのだ。宿代と食費を考えれば、そろそろまとまった収入が必要だった。


「ダンジョンは狭くて暗くて怖いキュ……異世界の中でも一番苦手キュ……」


松明を片手に石造りの通路を進む。


湿っぽくて冷たい空気が肌にまとわりつく。


どこかで水の滴る音が、まるで時計の秒針のように規則正しく響いている。


* * *


通路の先に影が動いた。


敵が現れた。


包帯のミイラ・マミーと、骸骨の剣士・スカルファイター。二体同時だ。


「サンドブラインド!」


条件反射で最大量の砂を放出した。


一瞬で通路が砂で満たされ、二体のモンスターは完全に埋まった。


だが――


「キュウウ!?」


聡美自身も砂に埋まりそうになる。


狭い通路では砂の逃げ場がない。壁に跳ね返った砂が波のように押し寄せてくる。


慌てて砂をかき分け、必死に顔を上に向けて脱出する。


松明は消えた。真っ暗だ。


「危ないキュ! ここで最大量は危険キュ! コントロールしないと自分が埋まるキュ!」


予備の松明に火をつけ、息を整える。


* * *


さらに奥へ進むと、石のゴーレムが待ち構えていた。


高さ3メートルの岩の塊。松明の光を反射して、不気味に輝いている。


「コントロールするキュ! サンドスリップ!」


足元に少量の砂を敷く。


ゴーレムの足が滑る――はずだった。


だが、ゴーレムは重すぎて止まらない。


ずんずん迫ってくる。石の足音が通路に反響する。


「ダメキュ! サンドブラインド!」


結局、最大量でぶっ放す。


ゴーレムは砂に埋まったが、聡美もまた埋まりかける。


必死で砂を押しのけて呼吸を確保する。肺が砂埃で痛い。


「ふぅ……これじゃ私も埋まるキュ……どうしたらいいキュ?」


* * *


聡美は砂まみれの床に座り込んで考えた。


砂は、狭い場所で自分を殺す。


でも砂は、流れれば「向こう」へ行く。


水は高いところから低いところへ流れる。砂も同じ。


ダンジョンは下へ続いている。


入り口から砂を流し込めば――


「ひらめいたキュ!」


* * *


■第八章:禁断の技「サンドスタッフ」


聡美はダンジョンの入り口まで戻った。


外はまだ明るい。夕日が差し込んでいる。


聡美は深呼吸した。


緊張で、胃酸が込み上げてきたが、歯を食いしばって我慢した。


入り口に向かって魔法を放つ。


「サンドウォール!」


大量の砂がダンジョンの中へ流れ込んでいく。


通路は煙突のように砂を吸い込み、砂は下へ下へと飲まれていく。


奥から悲鳴のような音が聞こえる。モンスターの断末魔だろうか。


「サンドブラインド! サンドスリップ! サンドウォール! サンドトルネード!」


休まず砂を生み出す。


魔力が減ったら回復薬を飲む。また砂を出す。砂を出す。砂を出す。


戦闘じゃない。作業だ。


人類がまだ知らない形の土木工事だ。


聡美の脳裏に、子供の頃に工事現場で見た「生コンクリート注入作業」の光景が浮かぶ。


あれと同じだ。型枠に流し込むように、ダンジョンという型枠に砂を流し込んでいる。


* * *


十分後。


システムメッセージが次々と表示された。


『ダンジョン内のモンスターをすべて倒した! 経験値3000を獲得!』


『ダンジョンボス:ダークドラゴンを倒した! 経験値5000を獲得! レベルが上がった! レベル50になった!』


『砂魔法の威力がさらに100倍になった! 称号「砂の災厄」を獲得!』


「やったキュ! 禁断の技、サンドスタッフ(砂詰め)成功キュ!」


しかし――


「あ」


宝箱もダンジョンも、全部砂に埋まってしまった。


ダンジョンの入り口から砂が溢れ出している。


まるで砂時計がひっくり返ったように、延々と砂が湧き出している。


「宝箱……取り出せないキュ……ダークドラゴンの宝も……報酬の銀貨100枚も……」


勝利の味は、砂の味がした。


口の中がジャリジャリする。


* * *


■第九章:ギルドの騒動


翌朝、冒険者ギルドは大騒ぎになっていた。


「ダンジョンが砂で埋まってる!」


「入り口から奥まで、全部砂だ!」


「何が起きたんだ!? 新種のモンスターか!? 砂の呪いか!?」


「ダークドラゴンが倒されてる!? 誰が!?」


職員たちは慌てて調査に走る。


砂を掘り返せど、掘り返せど、砂。誰も真相に辿り着けない。


受付嬢のエリカは頭を抱えていた。


「あのダンジョン、レベル60推奨だったのに……一晩で全滅?」


冒険者たちも騒然としている。


「あのダークドラゴン、Sランク冒険者でも苦戦する相手だぞ」


「それが砂に埋まって窒息死してた……」


「犯人は誰だ? いや、犯人って言っていいのか?」


「ギルドは調査チームを派遣するらしいが……砂の撤去に何ヶ月かかるやら」


* * *


その頃、聡美は宿の食堂で朝食を食べていた。


「しばらく冒険は控えるキュ……」


胃に優しいスープをすすりながら、罪悪感を砂糖菓子みたいに噛み砕く。


でも、報酬は手に入らなかった。宝箱も掘り出せない。


生活費が心配だ。魔力を使い果たした疲労で、体も重い。


窓の外では、ギルド職員たちが砂まみれになってダンジョンの入り口を調査している姿が見える。


聡美はスープの椀に顔を伏せた。


「ごめんなさいキュ……でも私、生きるのに必死だったキュ……」


誰にも聞こえない謝罪が、静かな食堂に溶けていった。


* * *


そして数日後、ギルドの掲示板に新しい張り紙が貼られた。


【重要告知】


ダンジョン「闇の迷宮」は当面の間、立ち入り禁止とします。


原因不明の砂による埋没のため、調査・復旧作業中です。


なお、ダンジョンボス「ダークドラゴン」討伐の報酬については、


討伐者が不明のため保留とします。


心当たりのある方はギルドまでお申し出ください。


――冒険者ギルド本部


聡美はその張り紙を見て、そっと視線をそらした。


「名乗り出る勇気はないキュ……」


砂魔法の威力はさらに100倍になった。


でも、使いこなせていない。


むしろ、制御できなくなっている。


「このままじゃ、いつか本当に取り返しのつかないことになるキュ……」


聡美の胸に、小さな不安が芽生え始めていた。


【第3話・了】

第3話、お読みいただきありがとうございました!


ダンジョンを砂で満たす「サンドスタッフ作戦」、成功したけど……

宝箱も報酬も全部埋まっちゃいましたキュ。


砂魔法の威力はさらに100倍になり、もはや制御不能レベル。

このまま森で冒険を続けたら、森が砂漠になってしまうかも?


次回、聡美はついに決断します。

「もうこれは……魔王城に行くしかないキュ」


面白いと思ってくださったら、★評価やブックマークをいただけると、

聡美の胃痛が少し和らぎます!キュ!


次回もお楽しみに!

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