君と分け合うホットケーキ
ホカホカ優しくて、甘い香りが漂っている。ポテっとバターを落とすと、ホットケーキに触れているところからジュンワリ融けていく。
「怜菜ちゃん、できたよ」
お皿に盛ったホットケーキと、ミルクたっぷりのミルクティーをテーブルに置き、ソファで絵本を読んでいた姪を呼ぶ。
「わあ!すごい!あいりちゃんのホットケーキ、バターがのってる!」
「姉さん、お母さんが作ってくれるホットケーキには、はちみつかな?」
「うん。たっぷりかかっているよ」
「あはは、姉さんらしい」
今日から小学校の冬休み。姉夫婦は仕事があり、大学の冬休みでバイトも休みだった私が、今日1日姪を預かることになった。
姪は今年1年生。姉と10歳以上年が離れている私は、姪が生まれた時まだ13歳、中学生だった。姪というよりも、姉と同じくらい年の離れた、妹の様な存在だ。
「火傷しないように気を付けてね」
「うん!いただきまーす!」
ふうふう、小さな口で息を吹きかけて冷ました姪は、一口サイズに切ったホットケーキを口に運ぶ。
「んー!バターのホットケーキもおいしいね!」
「でしょ。私ははちみつよりバター派だな」
姪と同じ小学生の頃、姉はよくホットケーキを作ってくれた。いつも2人で半分こして食べていたホットケーキは、甘党の姉好みの、はちみつたっぷりのものだった。小学生の、低学年くらいまでは、私のホットケーキははちみつたっぷりのものだった。
バターを乗せるようになったのは、テレビでバターが乗ったホットケーキが出ていたからだ。バターを乗せて食べてみたいと姉に言った日、私は初めてバターのホットケーキを食べた。それまでは甘かったホットケーキが、甘じょっぱくなってとても美味しかった。
「でも、時々食べると、やっぱりおいしいんだよね」
「じゃあ、今度ママにおねがいしよう!作ってって」
「うん。そうしようかな」
あれから、私と姉はホットケーキを半分こすることはなかった。作ってくれないわけじゃなくて、私のにはバターを乗せて、姉のにははちみつをかけるようになったからだ。
今日は姪とバターのホットケーキを分けて食べている。いつかは姪にも、好みのホットケーキができるかもしれない。でもそうなる前に、今度は姉と姪と私の3人で、はちみつたっぷりのホットケーキを分け合ってもいいかもしれない。幼い頃を思い出して。
私はホットケーキには何もかけない派です。




