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猫、猫、猫!──機械の猫に心を与えるのは罪ですか?  作者: 綾白
第8章 空っぽのソラ

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第40話 祈りの彼方

 雨上がりの空には、大きな虹が架かっていた。


 木々の葉に残る雫は、瑞々しい光をまとい、静かに煌めいている。

 清らかな空気を、風がそっと運んでくる。


 深く呼吸をすれば、澄んだ空が胸いっぱいに満ちてくるような——そんな、心地よい朝だった。


「ボクね、気づいたんだ」


 窓辺に座り、静かに虹に見惚れていたソラが、不意に口を開いた。


「空っぽは、何にもないってことじゃなかったの。『楽しい』を詰めれば詰めるほど広がっていくの。それでね、最後には世界いっぱいまで広がって——『そら』に届くんだ!」


 空色の瞳をキラキラ輝かせて話すソラに、ラドリーはいつものように呆れた顔でため息をついた。


「お前の言う『そら』は、空か? 自分か?」


「どっちも!」


 にっこり笑って無邪気に返すソラに、自然と肩の力が抜ける。


 その笑顔を見て、ラドリーはふと初めて出会った日のことを思い出す。

 あの時、白い毛並みに空色の瞳を持つその機体は、確かに「空っぽ」だった。


 でも今——


 そこには、数えきれない記憶と、想いと、温もりが詰まっている。


 ——そして、同じものが、自分にも。


 いつしか、ラドリーの空虚も埋まっていた。

 ラドリーは、それを真っ直ぐに認めて、受け入れていた。


   ◇


 ソラの「空っぽ」は、哀しいものではなかった。


 その名に込められていた祝福のとおり、それは、自由で、可能性に満ちた器。

 

 そして——その器は、確かに今、誰かと共に生きている。


 ——今日もまた、新たな「楽しい」を詰め込みながら。




 —— Fin ——

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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