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少年は、全てを捨て復讐者となる。~Another World~   作者: 高瀬利糸
第五部〜テサー王国革命編〜

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53章〜終わり、始まり〜

「今、最大の脅威である国王直属兵の戦闘力は大きく削られている。やるなら今しかない」

 フラマが前で話し始めた。

「私とその新入りたちは中へ潜入して内部から壊す。後は、4つのグループに分かれて包囲。門が開いたら突撃。いつも通りで、変更はなしだよ」

 革命とは思えないほど淡々と計画の説明をする。


「いつも計画して動いてた通りだよ。今日、この国を終わらせよう」

 全員から強い歓声が上がり、倉庫にあった武器を装備した。


「流羽人達、行くよ」

「……どうして俺たちもなんだ?」

「もともとはそれぞれのグループのリーダーと行く予定だったけど、同志の中にいて指揮を取れるならそちらの方がいいからね」

「潜入ってどこから?」

「それは私に案がある」



「……フラマさん、行く前によろしいですか?」

「ファントム、手短にお願い」

「……マスターがおそらく心肺停止……亡くなられました」

 リエルとノックスが生き返っているのを見て、死ぬとは思っていなかったせいで、フラマは呆然とした表情になった。


「……間違いないの?」

「えぇおそらく。そちらの吸血鬼の二人は何かわかりますか?」

「……このマスターって過去にどんなことがあった?」

 ノックスが精神攻撃のことを思い出して、少し顔色が悪くなりながら聞き返した。


 結局二人とも精神攻撃の内容は話そうとはしなかったな。

 よっぽど酷いものなのか……?


「……確か、奥さんが国に連れてかれた」

 ……国に連れて行かれる。というわけのわからない単語に、俺たちは眉間に皺を寄せる。

「国家被験体法ですね。国家の被験体に選定されたものはその義務を負う。この被験体にされた人は二度と帰ってきません」

 想像を遥かに超える国家ぐるみの行為になんと返していいかもわからず、呆然とした。


「マスターも抵抗しようとしたけど奥さんに止められたんだって。当然判決は死刑だから。そのことを今でも悔やんでることをバルトやルーメンとお酒を飲んでいる時に話してた」

「……今でも悔やんでる、加えてあの戦闘能力が仇となったんだね」

「どういう意味?」

「あの能力はトラウマな記憶を蘇らせて、その時に自分の未来を変えようとしちゃダメなんだよ」

 ……タイムパラドックス的な話なのか?

「……とりあえずこの話はやめにしよう。マスターの遺体はどうするんだ?」

「そこのソファーに寝かせておいて。よくあそこで休んでたから」

 ……先ほどとは一転した、暗い気持ちでの革命の始まりだった。





「結局作戦は?」

「あれよ」

 王都とは真逆の方向に歩いて行き、着いたのは最初に俺たちが入ってきた境界門。

「……かなり緩い警備体制だな」

 門の前には銃こそ持っているものの4人ほどで警備に当たっていて、簡単に突破はできそうだった。

「普段は多いけど、今は人員がかなり減っている。行くよ」

 いつもの如くスモークグレネードを投げ込み、フラマ、リエル、ノックスの3人が煙の中に突っ込んだ。


 視界が奪われたせいで兵士は何も抵抗できず縛り上げられた。

「そういえばこいつらの始末はどうするんだ?」

 ノックスが最後の一人を地面に倒した。

「彼らはもともと下町の人間であることも多いからね。本当は殺したくはないけど……こいつらも手を染めちゃってるからね……」

 フラマは体の何箇所かを続けて刺したが、兵士は苦痛の声を上げるだけで死なない。

「失血死まで苦しみなさい。私たちの仲間を苦しめた分」


「さぁ……行こうか」

『身内を傷つけられたらサイコパスになる、リエルや玲人と同じ雰囲気を感じた』

『一番はお前だ』


「どこに向かってるんだ?」

「あれ」

 線路の上を貨物列車が走っていく。


 ……嘘だよな?

「飛び乗るよ!」

 一つの貨物にフラマはしがみついた。


 スピードは遅めとはいえ蒸気列車だ。下手すると手が折れる。

「急いで!」

 その声でノックスとリエルがしがみついた。


「……」

「……」

 玲人と頷き合い貨物に飛びついた。



「……指が持ってかれかけたぞ……」

「俺もだ」

 フラマのいる車両に頑張って飛び移った。

「あ、兄さん達大丈夫だった?」

「ギリギリだな」

「よかったね、私たちは骨が折れた」

 吸血鬼だからセーフだったものの、普通に危険すぎる。

「フラマは大丈夫なのか?」

「折れないと思ったら折れない!」

 ……根性論かよ。


「今から私たち5人で王城に侵入する。そこで情報収集しつつ通信室を制圧して、下町との境界門にいる兵士を全員緊急招集する」

「そこから全員での戦いって訳か」

「そういうこと」

「そういえば『裏切り者』の話はしないの?」

 フラマが黙り込んだ。


「そうなったらまず疑われるのはあなた達だってことに気づいてる?」

「違うよ!」

 すぐさまリエルが返す。

「うん。私は信じてるし、バルトとルーメンも同じ。ただ、人が集まるといろんな意見が出る。その中でこの国出身でもなく、新参者のあなたたちを疑わない人は少なくないはずよ」

「……確かにそうかも」

「さぁ王都に着くから貨物の中に隠れて。今日の深夜が決行の時。それまではこの貨物の中に身を潜めておくよ」

「検査的なものはないのか?」

「貨物が多いからね。おそらく明日の朝だよ」


 列車が王都の中に入っていった。

次回は29日か31日です。

29日無理な可能性が高いですが、テスト勉強終わればいけます。

よろしくお願いします。

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