46章〜反逆者の反逆者〜
銃が打たれた音が鳴り響いた。
その音に最後尾のルーメンが瞬時に振り返り、ナイフで銃弾を弾いた……!?
「流羽人!急いで!」
ぼやっとしている俺をフラマが引っ張り路地に入った。続けて玲人を背負った男が入り、最後にもう一度銃弾を弾いたルーメンが入ってきた。
「こっち!」
フラマが路地の隅の植木を指差す
「どこ?」
どう見ても道など無い。
「その植木の裏!」
……!
ブロック塀の裏にヒビが入ってる!
「銃で撃ったら壊れるようになってるから!」
フラマは次の準備があると言って銃の弾薬を取り換え始めた。
「準備」の意味は分からないが、俺はすぐに銃をその塀に打ち込んだ。
銃弾はど真ん中に的中した。
しかし……
「……びくともしない?」
「流羽人早く!」
振り返ってフラマが急かす。
「いやど真ん中に当てたんだけど……」
「え?そんなはずないでしょ!」
フラマが俺の銃を奪い取って発砲した。
同じように銃弾はヒビのど真ん中に的中した。
が、またしても割れなかった。
「フラマ!こっちも耐えるのはかなり限界に近いぞ!」
1人で国王直属兵をアサルトライフルで抑えているルーメンも限界が近いらしい。
「バルト!ルーメンを手伝って!」
バルトと呼ばれた玲人を介抱している男が頷き、ルーメンの方を手伝いに行った。
「ナイフを使ってみるか?」
「……うん。お願い」
ナイフを取り出して思い切り塀に叩きつける。
「痛っ!」
腕に痺れが走ってナイフを取り落とした。
ナイフは塀を砕いたが、その後ろの何かに止められていた。
「……何これ……?」
石を取り除くと裏側に紫色に光る石が出てきた。
「紫硝石?」
紫硝石……とても硬い石で一般的な弾丸などを跳ね返す強度を誇る。
なんでそんなものが……?
「向こうに漏れてたみたい」
フラマが周りの塀にも銃弾を何発か打ち込むが、全て石を砕くだけで貫通はしなかった。
「この周りの塀全ての裏側に紫硝石が取り付けられてる」
フラマがもう一度見回す。
塀は5m以上の高さがありよじ登ることはほぼ不可能。
俺がフラマの方を向くと、フラマが顔を上げ向き頷いた。
「バルト、ルーメン!作戦変更!ここで国王直属兵を迎撃する!」
バルトは未だに無傷だったが、ルーメンは目が半分抉れている。
「……逃げ道は?」
「紫硝石で塞がれてた。ここで全員倒さないとあっちの三人もまずい。迎撃するよ!」
「「了解!」」
兵士達も少しずつ銃を構えながらこの路地に入り込もうとしている。
壁から時々顔を覗かせながら銃を撃ち込む。
お互いに隠れながら撃っているためほとんど命中せず、痺れを切らせた相手側が捨て身の特攻を仕掛けようとしていた。
「来るぞ!」
アサルトライフルを持った兵士が見えた瞬間、リエルがスモークグレネードを投げる。
同時にルーメンとバルトは伏せながら銃を撃ち始め、俺とリエルはスモークグレネードの中に飛び込んでいった。
……集中しろ…………
耳に全ての意識を向ける。
たまに飛んでくる流れ弾に被弾しないように体を屈めながら動く。
……けたましい銃声の中に、兵士のわずかな息の音が聞こえてきた。
ゆっくりと足元から忍び寄り兵士を静かに刺し殺した。
煙がなくなると残っているのはわずか三人だけだった。
俺が2人、フラマが4人を刺し、その他は2人の銃や味方の流れ弾が当たって死んでいた。
「くそ……退くぞ!」
「させるかよ!Another world!」
魔力も十分に回復していたため一瞬で追いつく。
「な……なぜこんなすg……」
言い終わる前に銃で撃ち抜き黙らせる。
そして残りの2人に銃を向けた。
「こ……降伏です」
先ほどまで捨て身の特攻などという策をしていたのにも関わらず、目の前で仲間が殺され怖気付いたのか、彼らは両手を上げた。
「どうするフラマ?」
追いついてきたフラマに問いかける。
「……武器を捨てて。情報を吐くならば解放する」
彼らは武器をすんなり捨て捕縛された。
ひとまず彼らを路地に連れ込み塀越しに座らせた。
「まず、なんであなた達は私たちの隠れ家が分かったの?」
「……『反逆者』からの情報です」
ヒョロリとした金髪の男が答えた。
「『反逆者』?」
「えぇ。あなた達の革命軍の中に紛れ込んでいるスパイ。それが『反逆者』です」
次はもう片方の小柄な男が答えた。
「で、その『反逆者』ってのは誰なんだ」
「それが……」
男が少し口籠る。
「吐け」
ルーメンが拳銃を額につける。
「我々も知らないんです……隊長から『反逆者』からの情報提供があったと聞いているだけなので」
「えぇ。基本的には電気信号での情報のみでやり取りしているらしく、隊長も顔をみたことはないらしいです」
「本当か?」
「「もちろん」」
2人は声を合わせた。
「嘘はついてないみたいだぜ。脈拍の増加なんかもみられない」
バルトが片方の男の腕を話しながら判断を下した。
「そうだね。じゃあその2人は解放していいよ」
「……いいのか?」
「うん。分かってるよね?」
縄を解かれた2人は項垂れ、走り去っていった。
「国王直属兵の規律で、敵に情報を与えたものは死罪なんだよ」
「……つまりあの2人は……」
「そう。バレたらA級犯罪者として追われるの」
「あ、一つ良いことお教えしますよ」
走り去ったはずの男たちが何故か戻ってきていた。
「何?」
「あなた達の他の隠れ家も同時に襲撃されていますよ」
そう言い残して再び走り去った。
「……!」
フラマは急いで胸の通信機に手をかけた。
「マイカ!聞こえる!……聞こえるなら答えて!」
……その後も周波数を変えながら、次々と問いかけるが一つも返事は無かった。
「……下手すると隠れ家にいたやつは全滅だな……」
「助けに行こう……遅いかもしれないけど!」
フラマが場所を割り当てようとした瞬間、俺たちが逃げてきた隠れ家から閃光が飛び出し大爆発が起きた。
次回は8月23日土曜日に投稿予定ですが、テストの影響などで延期やお休みするかもしれません。
よろしくお願いいたします。




