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少年は、全てを捨て復讐者となる。~Another World~   作者: 高瀬利糸
第四部〜テサー王国下町編〜

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幕間〜誰かのAnother route Ⅳ 後編〜

 ……あれ……僕、昨日何をしてたんだっけ……

「B−3213!起床の時間だ!」

「はい!すみません!」

 どうやら寝坊をしたらしい、と当時の僕は思って、そのままその日は作業を行った。


 あれ……なんで僕ってここにいるんだっけ……

 銃を運んでいる作業中に、僕はふと考えた。


 ……生まれてからここにいる?

 ここが君の生まれた場所で故郷。そう言われた気がする。

 僕は吸血鬼で、姉ちゃんは……死んでしまった……

 ……じゃあ自分の親は?

「おいB-3213!急いで運べ!」

「すみません!」

 職員の声で思考が途切れ、何を考えていたかも忘れてしまった。

 何だろう……?今日は少し頭が回っていない感じがする。


 大量の銃を倉庫に運んで、職員室に報告に行くと、一人の少年が目隠しをした状態で立たされていた。その前で職員が銃口を少年に向けている。


「……その子は!」

「あぁB-3212か。……こいつか?こいつは逃亡を試みた。だから殺処分する」

 殺処分……!?

 ……あぁ殺処分か。当たり前のことだ。

 いつも聞いてたはずの言葉のはずなのに、なぜか少し動揺してしまった。


「そうなんですか。銃を倉庫に運び終えました」

「分かった。戻っていいぞ」

「はい」



 孤児棟の自分の集団部屋に戻ると、部屋の他の仲間が部屋の隅に固まっていて、僕が入った瞬間に体をびくつかせた。

「あ……あぁなんだ3213か」

 そして、僕の顔を見て安堵の表情を浮かべながら話を持ちかけた。

「一緒に脱走しないか?」


 ……脱走?何を言っているんだこいつらは?

 逃げれば死ぬし、そこまでして、この故郷を離れるメリットがない。

「……何を言っているんだ?」

「だから、脱走だよ。ここからの」

「いや、僕はここを出る気はない」

 部屋の仲間たちの表情が曇る。


「お前こそ何言ってんだよ……この3ツムどっかに行く前までは、『いつか絶対に脱走してやる』とか言ってたじゃん」


 ……何を言っているのか全く分からない。

 そんなことを言った覚えはないし、言うはずが無い。


「まぁだったらいい。俺たちは逃げるからな」

「あぁ勝手にしたらいい。ただ死ぬぞ」

「そんなことは百も承知の上だ」

「そうか。僕はもう一つの仕事があるから行ってくる」

「あぁ。絶対にこの計画をバラすなよ」

「分かったよ」

 ……バラさないはずがない。こいつらは殺処分は免れないだろう。


 職員室へと向かい、職員全員に部屋の仲間が話していたことを全て話した。

 それを聞いて、屈強な職員が孤児棟に走って行く。


 その数ベル後には、職員室に僕の部屋の仲間たちが縛られて倒れ込んでいた。


「3213!お前……裏切りやがったな!」

 部屋の中でリーダー格だった少年……A-0021が喚く。

「何を言ってんだか……僕は協力するなんて一言も言ってない」

「その発言から、お前たちが脱走しようとしたことは間違いないようだな」


 職員が一番近くにいた孤児を撃った。

 ぴたりと動かなくなり、心臓から血を流す。


 銃声が聞こえて、他の孤児も全員黙った。

 目が見えない恐怖で、全員が冷や汗をかき始める。


 当たり前だ。彼らはそのレベルのことをしでかしたのだから。


「この中で、反省している者は?」

 その言葉に、気の弱い小柄な少年ーB-1252が真っ先に反応した。

「すみませんでした!僕が馬鹿げたことを考えました!本当にごめんなさい!許してくだs……」

 体から鮮血を吹き上げた。

「よろしい。反省しているなら楽に逝かせてあげよう」


「他は?」

 全員自ら死ぬのが怖かったのか、最後の抵抗のつもりなのか、誰も反応しなかった。

「全員研究室送りだ」

 その言葉に他の職員が反応して、彼らを実験室へと連れて行った。


「そして、B-3213。君にも質問だ。この施設は3ツム後から、孤児院ではなく、組織員養成施設となる。……君は組織に入るかね?」

「……組織?」

「我々はRed blood。とある目標に向かって活動している」

「入ればここを離れなくていいんですか?」

「もちろん」

「入ります」

 迷いはなかった。これが正しい。ここが僕の故郷なのだから。


 3ツム後。僕たちの孤児棟が、仮組織員棟という呼び名に変わり、自由度の高い部屋に変わった。

 さらに1ツム後には、たくさんの来客があり、僕と同じくらいの年の子供たちが組織員候補生としてやってきた。




 組織員候補生としての最初の訓練は、拳銃のエイム能力だった。

 僕は、吸血鬼の肉体強化を生かして100人弱の候補生の中で3位で突破した。


 その夜は、大量の死体処理だった。

 組織に入ることを拒んだ孤児、前回の騒動で脱走しようとした孤児の死体を中庭に全員で埋めた。


 その後も訓練の日々が続き、第1期の成績が高かった上位10名に僕は選ばれた。

 報酬として、職員室だった場所にできた、「特待生室」で個室を与えられるようになった。

 そんな日々の繰り返し。


 第2期も6位で突破して、明日から第3期だという日の晩に、施設が攻撃を受けた。


 始まりは施設の近くに雷が落ちただけのこと。

 しかし、その直後に塀が次々と爆発して穴が開き、数ベル後には仮組織員棟が爆発して、中の部屋が剥き出しになった。


 立ち入ってはいけない、と言われていた研究室が燃え出した。


 さらに、数ベル後には仮組織員棟が爆発して、中の部屋がむき出しになった。

 相手は数人の子供だから問題ない、と施設の上層部は楽観視していた。


 が、施設の刀の名手が殺され、100人以上の組織員候補生、組織員連合チームが撃破された時には、もう楽観視できるような状況ではなかった。


 戦力は、僕を含む特待生10人と上層部が8人。本来なら簡単に勝てると判断するが、今回ばかりはそうとはいえなかった。


「これよりこの施設を放棄して、戦略的撤退を行う!」

 全員が施設から飛び出て、院長が中にある特殊燃料にライターを投げ込んだ。


 特殊燃料は一瞬で燃え広がり、職員棟が火に包まれる。


「全員乗ったか!」

 大型の蒸気車が走り出した。

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